「60歳までに1億円」から「60歳から毎月20万円」に「変節」した理由

これまで投資関連の書籍を40冊以上執筆してきましたが、実は内容が矛盾している2冊の本があります。

2009年に書いた「60歳までに1億円つくる術」と、2015年に書いた「60歳から毎月20万円入る術」です。

前者は、金融資産の積立による資産形成を説き、後者は不動産投資による毎月の安定した定期収入の獲得を説いています。

「変節」した理由は、2009年からの数年間に、3つの変化があったからです。

1つはマーケット環境の変化です。リーマンショックによって先進国の金融緩和が開始され、市場金利の大幅な低下と共に債券利回りも急低下しました。金利収入を当てにして債券を購入し、安定したインカム収入を得るというそれまでの運用手法が成り立たなくなったのです。

そして、私自身も40代から50代になり、キャピタルゲインからインカムゲインへ投資目的が変わっていきました。債券でインカムゲインを得られないなら、別の定期的な収入が得られる投資対象を見つけなければなりません。

3つ目の理由は「お金を借りる力」に気がついたからです。50歳になるまで、銀行からお金を借りたことが無く、「借金=悪」という呪縛にとらわれていました。それが、ひょんなきっかけで、コペルニクス的転換が起こり、呪縛から解き放たれました。

現在の資産運用は国内外の不動産が圧倒的で、インデックスファンドによる積立資産は全体の10%程度にまで低下しました(相変わらずマネックス証券で月次積立は続けています)。

インデックスファンドを使った金融資産によるアセットアロケーションから、不動産を中心としたアセットアロケーションへの転換は、インデックス投資家から変節したと批判されました。

しかし、結果をみると自分の決断は間違っていなかったと感じています。逆に、もし今もコツコツ積立だけをしていたら、お金と時間の自由を手に入れることはできなかったはずです。

アメリカの神学者ラインホルド・ニーバー氏がイエス・キリストに捧げた有名な言葉に

「私たちに変えられないものを受け入れる心の平穏を与えて下さい。変えることのできるものを変える勇気を与えて下さい。そして、変えることのできるものとできないものを見分ける賢さを与えて下さい。」

というのがあります。

資産運用も同じです。アセットアロケーションを続けることは資産運用の王道で、変えるべきではありません。しかし、これからも新たな投資対象を広げ、資産運用の方法を進化させていく勇気も必要なのです。

「60歳から毎月20万円入る術」を実践したい方は、こちらのセミナーに参加してみてください。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年9月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。