政党の代表者の選び方

自民党総裁選挙が行われます。現状では、自民党総裁が内閣総理大臣になる故に、これは総理大臣を選ぶ選挙です。議院内閣制度においては、与党党首を選ぶ事は、イコール総理大臣を選ぶ事になるという事です。

政党と言うのは本来、議員のものではなく、それを支える一人一人の党員のものであるがゆえに、党内民主主義が確立されていることが重要になります。とかく政党と言うと現職議員の活動ばかりが表に出ますが、本来は一人一人の党員が主人公であり、地域の活動が連動し、地域の声の代弁者なのです。僕は、現在は何処の政党にも所属していませんが、20歳から53歳まで自民党に所属していました。自民党は結党時に「政治は国民のもの」と宣言しています。僕もこの宣言を信じて自民党に入りました。つまり、「政治は国民のもの」であり、「政党は党員のもの」なのです。

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こうした視点に立った時に、党首の選ばれ方どうあるべきなのか、改めて考えることが大切です。議会制民主主義の原点とも言われる英国の保守党党首の選び方が、とても参考になります。保守党党首に立候補するには、下院議員8人の推薦が必要です。そして、下院議員投票を繰り返し、候補者が2人に絞り込まれます。1回目の投票に16票、2回目の投票に32票を集めないと次の議員投票に進めません。2名に絞られると最後は党員投票になり、党首が決まるのです。つまり、党首は、最後に党員が決めるのです。

自民党の総裁選挙は、国会議員一人1票(383票)と党員票分(383票:国会議員相当分)によって行われる選挙です。1回目で過半数を得れば、それで決まりますが、そうでなければ上位2名による決選投票になります。決戦投票は、国会議員一人1票の383票と自民党の都道府県連支部連合会分の47票でによる選挙ということになります。

英国保守党と比べると総裁選挙における党員の影響度が、低いという特徴があるのです。自民党の3回生以下の議員が、派閥単位ではなく、個々人の意思において総裁選挙が行われるべきだという提言をしていますが、これはとても大切な提言だと思います。更に付け加えて、国会議員も地方議員も、一般の人も同じ党員なのだから、公平に一人1票で総裁選挙を行うべきと提言をして欲しいと思います。そこまでこれたら、真の国民政党になれると思うし、「政治は国民のもの」という原点に戻れるものと思います。

僕は横浜市会議員選挙を3回、衆議院議員選挙を5回、そして横浜市長選挙を1回、経験しました。厳しい選挙ばかりでしたが、いずれも、正しい判断をしてくれるものと、有権者を信じて選挙をしてきました。政治家が有権者を信じていなければ、有権者が政治家を信じることはありません。

有権者が間違った判断をしてしまうから、という前提の政治が、日本の閉塞感を生み出していると思います。党首を選ぶ選挙は、有権者は党員になります。党員を信じて一人1票の党首選挙をいずれの政党も行うべきだと思います。


編集部より:この記事は多摩大学ルール形成戦略研究所客員教授、福田峰之氏(元内閣府副大臣、前衆議院議員)のブログ 2021年9月10日の記事を転載しました。オリジナル記事をお読みになりたい方は、福田峰之オフィシャルブログ「政治の時間」をご覧ください。