総裁選の構図が固まり、まさに報道も総裁選一色の様相を呈してきました。まだ誰が総裁になるか決まってないにも関わらず、自民党支持率が10%上がったという報道もあり、メディアの影響力というのは大きいなと思うところです。
そのような中、日本経済新聞では、次の総裁に求めるものについてアンケート調査を行ったとのことで、記事を読んでみると…
「国民への説明能力がある」51%
「指導力がある」49%
「国際感覚がある」32%
「人柄が信頼できる」26%
「政策に理解がある」26%
と続いていくようで、何をするか(政策)よりも、どんな人か(人柄や政治姿勢)の方が高く評価されるのだなと改めて思うものでした。
これに対して、Zアカデミア学長(Zホールディングス)の伊藤羊一さんは、
説明能力、とは単に「話のうまさ」ということではない。オープンマインドで、国民の感情を理解したうえで、国民がどう考え、どこに向かうべきなのかをしっかり向き合い、寄り添いながら言葉の力をもって進めていく能力だ。
としており、非常にしっくりきます。
政策の実行力は高いとされながらも、国民の共感を得られなかった菅内閣に欠けていたものに改めて気付かされます。
全文はこちらから「国家のリーダーに私たちは何を求めるか」
加えて、私が都議会議員として活動する中で感じてきた説明能力に必要な要素を2つあげたいと思います。
1つは、客観的な事実や科学的な根拠を正しく理解する力。
水面下での交渉を得意とする調整型の政治家には苦手な人が多い印象です。そもそも調整をするということは、客観的な事実をねじ曲げてでも利害調整を行わなければならず、整合性がとれなくなってしまうのかもしれません。また、時にはこれまでの対策を自己否定するものですから、エビデンスに基づく意思決定をするのは、非常に胆力のいるものです。
もう1つは、相手が分かりやすいように話す力。
これには、実は政策理解度が深く関わっていると思います。記者からの質問含めて、相手に分かりやすく説明をするには、資料や原稿を読み上げるだけではできません。いくら想定問題を作ったとしても、限界がありますよね。もちろん、明朗快活に淀みなく、時に情感を交えて説明をする能力も政治家にとって必要です。ただし、課題と背景、対策と成果をきちんと理解していないと、一貫性のないメッセージになることもあります。
ところで、株式会社エデルマン・ジャパンが実施した政府に対する信頼度調査では、世界11カ国でコロナ禍において「政府に対する信頼度が低下したのは日本のみ」という残念な結果も。
政治への信頼度は政策の実効性に影響を与えます。信頼できない人にお願いされても、聞く耳持たないですものね。
次期総裁に求める資質の上位に説明能力や指導力が来るのも、政治への信頼度の低下から来るものなのかもしれないなと思うところです。