疑似集団免疫仮説、山火事理論に勝手に参戦

山火事理論( ブログ )が、興味深かったため、勝手に参戦します。 一時的な疑似集団免疫は、免疫学でどのように考えると説明がつくか、またその状態に移行するスイッチは何かについて考察してみます。

獲得免疫では説明がつかないため、自然免疫が重要な役割をはたしていると、私は推測します。 本来の集団免疫は獲得免疫により達成されるのに対して、擬似集団免疫は自然免疫により達成されると考えるわけです。

DaveAlan/iStock

ウイルス感染が成立するためには、一定量以上のウイルスに暴露される必要があります。 少量のウイルスでは感染しません。 濃厚に接触した時に感染するわけで、軽い接触で少量のウイルスを吸い込んだだけでは感染しないのです。

また、強い免疫を有している人の場合は、大量のウイルスに暴露されても、感染しない(あるいは感染しても発症しない)ことがあります。

以上をまとめますと、

(a)大量のウイルスに暴露→感染あり
(b)大量のウイルスに暴露→感染なし(あるいは感染あり発症なし)
(c)少量のウイルスに暴露→感染なし

の3パターンとなります。

新型コロナウイルス感染症は、飛沫感染ではなくエアロゾル感染が主と考えられています。 私の仮説では、このことが重要な意味を持ちます。 エアロゾル感染では、ウイルスを含むエアロゾルが長時間空気中を浮遊しています。

そのため、感染が拡大している地域では、三密をさけた生活をしていたとしても、 毎日1~2回少量のウイルスを吸い込む可能性があります。 ウイルスは少量なので感染は成立しません。

吸い込んで上気道に付着し細胞に侵入した少量のウイルスは、自然免疫により処理されます。 ここで一つの仮説をたててみます。

「少量のウイルスが繰り返し自然免疫に処理されると、そのウイルスに対する上気道の自然免疫が一時的に増強される。」

その結果、大量のウイルスに暴露された時の感染成立の確率が低下します。 つまり、パターン(a)が、パターン(b)に一時的に変化したわけです。 自然免疫は、非特異的であることが原則です。 ただし、近年の研究により、 自然免疫の場合でも特異的に病原体を認識し、感染防御を成立させる場合がある ことが判明しています。 したがって、この仮説が成立する可能性は十分にあります。

感染が拡大している時期であっても、地域の8割~9割の人が、 大量(一定量以上)のウイルスに暴露される確率は高くありません。

一方、少量のウイルスであれば、その確率は格段に高くなります。 少量のウイルスにより地域の8割~9割の人の免疫状態が変化すると考えるのが、この仮説のポイントです。 なお、感染は成立していませんので、これは不顕性感染ではありません。

10,000人の集団で、思考実験をしてみます。 (a)の経過をたどる人を(a’)、(b)の経過をたどる人を(b’)とします。

初期状態:(a’)7000人、(b’)3000人
   ↓
(a’)の人が徐々に感染、空気中を浮遊するウイルスを含むエアロゾルが徐々に増加
   ↓
自然免疫が一時的に増強して(a’)の人が徐々に(b’)に変化
   ↓
疑似集団免疫状態:(a’)1000人、(b’)9000人
   ↓
感染者は減少、ウイルスを含むエアロゾルも減少
   ↓
エアロゾルが減少すると自然免疫も減弱して(b’)の人が徐々に(a’)に戻る
   ↓
初期状態:(a’)7000人、(b’)3000人に戻る
   ↓
ワクチンなどにより恒常的に(b’)9000人となるか(本来の集団免疫状態)、ウイルスが弱毒化して「ただの風邪ウイルス」になるまで無限ループは続く

感染者が減少するメカニズムを見極めることは、感染症対策に大きな影響を及ぼします。 政府は、偏見を持たず、合理的に考えて結論を出すべきと、私は思います。