どうして次々と定期的な波が来るのか、中村先生の山火事理論にその答えはありました。気の緩みも人流もほぼ関係ない。
波はどうして起きるのか
先日書きましたこのエントリー
もと自衛隊で防疫の専門家として働いていた、つまり最前線にいた中村ゆきつぐ先生がわたしの仮説を昇華させていただき山火事理論になったわけです。
しかしこの山火事理論にも1点だけ小さな疑問がありました。
燃えやすい木が燃え切ってハゲ山になって次の山火事はどうして起きるのか
という点です。GoToが始まったから、連休だからという理由で従来の専門家は説明しようとしましたが、法則性がない。わたしの「五輪の自宅観戦で家庭内感染が爆発」という仮説は当たっているとは思いますが、これは拡大の説明はできても波の始まりの説明はできない。
新規の波は
- 同じ人が何度もかかるのか
- 自然免疫はそんなにもたないのか(ピークからボトムまで2~3ヶ月しかない)
- いままでかからなかった人が突然かかるのはなぜか
みたいな疑問がありました。3については第5波は感染力の強くなったデルタ株の影響という事があったわけですが、それにしてもいままで罹患しなかった層に急に広がったのは第2波から第5波まで共通していました。
中村先生は山火事理論を
1 感染者で重症化する人は若者にそんなに多くない。不顕性感染も多い。中国のように人権制限しなければ0コロナはほぼ不可能。抗体検査では捕まえきれない既感染がある可能性(細胞性免疫?)
2 コロナ感染後の免疫は永久免疫ではない。少しは感染を予防するかもしれないが、一定時期に減弱し再感染を引き起こす。(中途半端免疫)
3 ワクチンで誘導される免疫も永久免疫ではない。ただ自然感染免疫より持続時間は長い。だからイスラエルは一定の時期コロナフリーが得られた。そして免疫が低下して今の感染者の増加がある。
4 人流抑制は感染者数を減らすことにおいて初期は有効。ただ感染爆発が起きてしまったら、人流の増減関係なく、燃え尽きることで周りに弱いながらの自然感染免疫ができて(ワクチン免疫もあり)収束する
5 そして結果一過性の集団免疫のような状態になるが、長時間は持続せず、残った感染していない人、徐々に免疫が低下していった人、またウイルスの感染力が強くなった時に新たな波が生じる
とされているのですが、確かに第5波ではそのとおりでしたが、第4波まではどうだったのだろう。
実は厚労省のサイトにその回答はありました。
新型コロナウイルス感染症(変異株)への対応
まずは変異株の番号と名称
アルファ株はB.1.1.7 N501Y
デルタ株はB.a.617.2 L452R
ラムダはC.37
カッパはB.1.617.1
いままでの感染を見ますと
徐々に山が大きくなっていて、第5波は日本ではファクターXが切れたものと思われるが、感染力の強い新株が優位に立つ傾向がある。
第1波 B.1.1
第2波 B.1.1.284
第3波 B.1.1.214
第4波 B.1.1.7(N501Y アルファ)
第5波 B.1.617.2(L452Rデルタ)
たぶん、ソフトのバージョンと同じだと思うのですが、デルタだけB.1.1系ではないので大きなアップデートがあったって事ですよね。
このグラフからわかること
いままでの波は変異と共にやってきた
第3波はGoToが原因だったとまとこしやかに専門家は言いましたが、実際にはB.1.1.214(欧州株)が急激に拡大したから。第4波はアルファ株です。
リバウンドも気の緩みも関係なく、既存株を上回る優位性のある変異株が定期的に発生して、定期的な波となる
以上!! 終了っ!! て感じでした。
山火事理論は、その変異株に罹患しやすい、つまり燃えやすい要素を持った人たちが全員燃えて急速に収束。次の変異株で優位に立てるのは以前の株で燃えなかった人たちのガードを抜けられる株という可能性ですな。
日本国内の地方や、または世界レベルでピークがズレるのは、変異株の浸透によるものと考えるとぴったりはまる。たとえば
デルタ株の占める割合が多い順から
東京
沖縄
が同じくらいで
大阪
北海道
となり、全国が等しくデルタが浸透しているわけでは無い事が分かる。さらにデルタの浸透度が高いほうが人口あたりの感染者が多くなっている。
第6波はどうなる。防御は
第5波まで定期的な周期で新しい変異株が来ている以上、次も来ると考えるのが科学的。
自然抗体とワクチンによってできる抗体ですが
インフルエンザワクチンのような不活性型ワクチンでは、自然感染より抗体の防御は弱いと言うことが理化学研究所の報告でもわかっていますが、中国製のシノファームがコレです。だからよく分かっているから安全と思うかもしれないのだが、変異を繰り返すコロナでは効果が薄いわけですね。
それとmRNAワクチンを比較すると
米ニューヨーク大のチームが新型コロナ感染から回復した101人の血液を調べたところ、感染を抑える効果が高い抗体を十分持つ人は6%、中程度持つ人は20%にすぎず、大部分の人は少なかった。感染を抑える効果が高い抗体は「中和抗体」と呼ばれる。ウイルスが細胞に侵入する時に使う「スパイクたんぱく質」を認識してくっつき、侵入をじゃまする抗体だ。mRNAワクチンは、効率よく中和抗体を作るために開発された。ウイルスに感染するときとは違って、スパイクたんぱく質の情報だけを免疫細胞に伝える仕組みだ。国内で接種が進むファイザーやモデルナ製のワクチンの臨床試験では、実際に感染した人と同等か、上回る中和抗体ができたと報告された。また、長崎大などのチームが、新型コロナの感染者と、感染せずにファイザーのワクチンを2回接種した人の血液の抗体を比べたところ、ワクチン接種者のほうが中和抗体が多くできたと推定された。
ここからは素人なので適当ですが
mRNAワクチン > 自然感染抗体 > 不活性型ワクチン
と、こんな感じですかね。ワクチンの抗体は変異して効果が弱まっても一定の効果は保つことは↑の厚労省の資料でも明らか。しかし今後の変異によってはどうなるかわからない。mRNAはアップデートが比較的簡単にできるので、脅威度の高い変異株が出てきたら対応したものにアップデートしてブーストしていくことになると思います。まあ接種するのは個人の自由ですけどわたしは年食ってるし社会の負担になって次世代の未来をぶっ潰したくはないので打つつもりです。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2021年9月22の記事より転載させていただきました。