退任間際の菅総理が、9月末をもって緊急事態宣言を全面的に終了する検討を進めているとのニュースが流れた。また、先日の連休中に人流が増加するなかで新規感染者数が大きく減少していることから、これまで1年半にわたり飲食店を主たる標的として行われてきた人流抑制策が全く無意味であったのではないかとの指摘が、皮肉にもこれらの施策を主導してきた立場である麻生副総理から今頃なされるような状況である。
仮に宣言が解除されても、これまでの例からみて大した根拠もなく飲食店での酒類提供に一定の制限が続くことが予想される。美味しい食事とお酒を楽しみながら家族や友人たちと歓談する、人間生活の根幹ともいえるコミュニケーションの機会をもう1年半以上も奪われ続けている我々は、一体いつになれば元通りの生活を送れるのだろうか。
これまで我慢に我慢を続けてきた飲食店は、存亡の危機がいよいよ現実のものとなり、ここ数ケ月で閉店や倒産する店も増加の一途を辿っているようだ。休業・時短要請を受け入れた飲食店に支払われる協力金は、店の経営実態を考慮することなく売上規模などで一律に決められており、どうしても不公平感が出てしまう。
他方、世界でも有数の人口当たり病床数を誇るはずのこの日本で、重症者数が欧米の数分の一程度に過ぎないにもかかわらず医療崩壊の危機が脅しのように叫ばれ続けている。だが、強力な政治力を持つ医師会に忖度した政治家と大手マスコミはこの矛盾に正面から向き合うことはない(ちなみに東京都医師会は自民党に対して総額2億円もの献金を行っているそうである)。
医療業界は自分たちに都合の悪い施策を政府に圧力をかけてストップさせられるが、他方そうした組織力と資金力に乏しい飲食業界は、圧力どころか切実な要望すら受け入れられず、いまも標的にされ続けているのだ。
こうした状況のなか、店の存続と従業員の生活を守るため通常営業を継続する飲食店も増えつつある。都内を中心に40数店舗を運営するグローバルダイニング社はその代表例であり、時短命令は違憲・違法であるとして東京都を相手取り訴訟も提起している。
『飲みナビ』は、これら通常営業を行う飲食店を支援しつつ、普段通りに飲食を楽しみたい利用者のニーズに応えることを目的として当社が先月立ち上げた飲食店紹介サイトだ。
通常営業を行う飲食店の情報は独自調査に加え、お店やユーザーからの情報提供により掲載している。機能や使い勝手は大手サイトにはまだ及ばないが、お陰様で利用者と登録店舗は着実に増えつつある。現在は東京都内のみを対象としており、利用者の反応をみて順次エリアを拡大していくことも考えている。
いま危機に瀕しているのは飲食店だけではなく、普段通りに豊かな生活を送るという、我々の基本的人権そのものである。科学的根拠もなく重大な私権制限を要求するような施策には、法の範囲内で可能なアクションによって対抗することも時には必要ではないか。
今後もきっと終わることの無いであろうコロナとの付き合いのなかで、我々国民一人ひとりが自ら情報収集してリスクを判断し、それを得られるリターンと見極めながら自らの責任においてどのように行動すべきか、『飲みナビ』がそれを考えるきっかけになれば幸いである。
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楜澤 悟
経営コンサルタント・事業家 『飲みナビ』運営会社代表