なぜ河野でなく高市、岸田なのかの最終結論

自民党総裁選挙も最終版にさしかかって、もう、政策や政治姿勢についての変更はないだろうから、私がもし自民党員だったとしたら誰に投票するかと云った観点で書いてみたい。

自民党HPより

河野、岸田、高市、野田のいずれも政治家としての能力、見識は高水準であるし、討論はまことに聞き応えがあった。しかし、結論からいうと、河野と野田については、残念ながら、総理総裁をいますぐに勤める準備ができてなかったと思うのである。

また、総裁選が始まってから、必要な方向転換をするとか、説明をするとかいうこともなかった。もし、これがアメリカの大統領選挙予備選のように長い時間をかけるのなら、別の展開もあろうが、もう時間切れで。ちょっと残念だった。

河野さんは、パワハラ体質の指摘があり録音テープまで公開されても、平塚弁のせいにしたりして、真摯に対応されず、総理になったらそういうことは絶対にしないとは仰らなかった。それには、側近不在もあるのだろう。

あの暴言名人だった池田勇人が、大平正芳官房長官を軸に「肝要と忍耐の政治」を実施されたのを見倣うべきだ。あるいは、軽はずみなところがあった中曽根康弘氏が後藤田正晴を官房長官にして、名コンビを組んだのも、安倍・菅コンビの対象の妙も見倣うべきモデルではないか。

それと、エネルギー政策や年金政策については、総裁選挙で公約に掲げて当選したから、実行するというほど中身が詰まったものでない。年金でも、これまでの制度をぶっ壊してまったく新しい制度にしたいが、細かいところは余り考えてないでいいはずない。

また、河野一族が所有し太郎氏自身も勤務していた日本端子という会社が父親の河野洋平氏が外相在任中に中国政府と繋がりの深い会社と合弁事業を創設し成長させていたなどというのを「影響ない」と言い放っているが、説明くらいしたらいいのにと思う。

さらに、「朝まで生テレビ」では、田原総一朗が、田原総一朗「河野太郎が出馬会見で脱原発も女系天皇も外してどうしようもなかった。河野太郎に『ガッカリした』と言ったら『アレを言わないと麻生がOKしない』と言った。僕は河野に『総裁になったら麻生なんて構わずにやりたい事やれ』と言ったら『やります』と言った」と発言した。ここまでひどい話に対しては、河野氏も明確な否定と措置をとるべきだろう。

私は河野氏を低くしか評価していないのはない。菅首相が河野氏をワクチン担当相に任命したときは、その慧眼を誉めたし、仕事ぶりにも満足ではないが、水準以上の仕事をよくやったと思う。色々批判はしているが、ほかの大臣よりは成果を上げたと思う。

しかし、麻生太郎じゃないが、もう少し総理には何が必要か身につけてからにしないと惜しいと思うのだ。

野田聖子氏については、改めて実力派の政治家であることは再認識した。少子化を一丁目一番地にするなどたいへん好感をもった。ただ、日米同盟が最優先という姿勢を確認させてくれなかったは残念だし、そういう人を首相にするのは冒険が過ぎる。

また、夫の反社疑惑に対して、「事実無根です。夫を信じてます」といった対応だったのは残念だ。私は野田氏に近い人にいっておいたのは、たとえば、夫本人も登場して正直に話し、過去への反省をきちんとし、また、いま何をして暮らしているのか、明確に説明するのがいちばんいいと思うといったのだが、採用してもらえなかったようだ。

岸田文雄氏が総理を十分につとまることになんの疑問もない。たいしてスキャンダルもない。また、トランプ大統領が続いていたら、岸田氏が安倍後継としてはいちばん安心できるともいってきた。ただ、トランプもいなくなったので、そのメリットはあまり意味なくなった。

ただ、それでも、もっとも、無難に来たるべき総選挙を乗り切れるだろうし、国民の政治不信も改善するだろう。また、憲法改正もややリベラルな岸田氏が、ソフトに語ってくれた方が通りやすいかもしれない。

一方、高市氏は、政策全般についてよく勉強しており、しかも、思考に柔軟性を感じる。いま掲げている政策でちょっと首をかしげるものもあるが、よく説明を各方面から聞いたら適切な方向を修正を期待できそうで、そこが河野太郎とは違う。

経済政策については、前向きの方向性には感心しつつも、MMT論者などに影響されている心配もしたが、消費税の減税を明確に否定するなどして、無駄な支出やバラマキを指向しているのでないので安心した。

となると、岸田氏と高市氏はどちらでもいいと思う。より安心感が高いのはやはり岸田氏である。マスコミからの攻撃も弱いかもしれない。派閥力学で足を引っ張られることもなかろう。

それに対して、高市氏は一部のマスコミが現実の高市氏の人格とか云っていることとを歪曲してでも攻撃するだろうという心配はある。とくに、安倍氏が支持しているというだけで気に入らない人も多いからそれもリスクの内に入る。

しかし、何も失敗しないだろうが、あまり面白いことは起こりそうもない岸田氏より、いくつか面白いことがおこりそうだ。

ひとつは、日本最初の女性宰相という新しさだ。それから、野田佳彦は喋りは上手だが中身がなさ過ぎたし、安倍晋三は話をそらすところが少し気になったし、菅義偉は無愛想すぎ。それに対して、分かり安い言葉で話し、質問をそらすことなく、言葉の遊びで逃げない高市氏は政治家の物言いに不満を持っていた多くの人の政治不信を改善すると思う。

そして、最後に、非世襲政治家、財力なし、公立高校から国立大学という普通の日本人であることも評価したい。

ということで、もし、私が自民党員だったら、お楽しみを加味することで、もっとも安全な選択ではないが、期待できるお楽しみを重視して、高市さんに投票するだろうというのが結論である。