岸田内閣の「一緒に貧乏になろう」という政策

岸田内閣が発足し、新しい政策が発表されました。「新自由主義からの転換」というスローガンですが、これは自由競争により格差を拡大させるより、分配によって平等を実現することを優先する政策のようです。

自民党HPより

しかし、日本ではすでに結果の平等が実現し「一緒に貧乏になろう(Let’s become poor together)」という世の中になっています。

日本の失業率は諸外国より低く、賃金は上昇しない経済が続いてきました。これは雇用を守ることを優先し、全員で生活水準を切り下げるという政策が続けられてきたからです。

岸田内閣は、その方向性をさらに進めようとしているように見えます。

「分配無くして成長なし」という考え方ですが、「成長無くして分配なし」では無いでしょうか?

分配の平等を優先するのではなく、成長による街の拡大を実現した上での配分を考えなければ、パイの奪い合いになって日本全体が沈没していくだけです。

成長しない経済の中で分配の平等を進めれば、能力がある人は充分な見返りを期待できなくなり、そこから逃げ出していきます。これは個人でも企業でも同じです。

日本にいると今まで以上に「一緒に貧乏になろう」と流れに巻き込まれるリスクが高まってきたと感じます。

私は、富の再配分を否定しているわけではありません。ただその前にやるべきことがあると思っているだけです。

世の中に高い価値を提供する人が報われない社会では、努力する人は減っていきます。それが実現できる日本の外に行った方が良いと思うだけです。

日本にやる気のある優秀な人たちを集め、日本を成長させていくためには、「新自由主義からの転換」では残念ながら対応できないと思います。

新政権の政策発表を聞いて、日本の将来にさらに悲観的になりました。素晴らしい文化に恵まれた、清潔で安全な国にいながら、その流れに巻き込まれないためには、どうしたら良いのでしょうか。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年10月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。