鶏肉バーガーの専門店「トリキバーガー」。
オープン初日は、行列ができるほどの混雑。しかし、
一方、サラダチキンの人気定着や、唐揚げ専門店の急増など、
はたして、トリキバーガーは鶏肉ブームに乗ることができるのか。
トリキバーガーとは
トリキバーガーは、居酒屋チェーン大手:鳥貴族の新事業です。
鳥貴族本体の経営状況は芳しくありません。赤字が続き、前期(
トリキバーガーの味
では、新事業の商品はどのようなものなのか。
最初に、味について。
悪くありません。
商品特徴で競合する「ケンタッキーのチキンフィレサンドサンド」
揚げ方:トリキバーガーの方がカラッとしている
肉質:ケンタッキーの方が柔らかい
あくまで筆者の主観ですが、
ただし、トリキバーガーのバーガーとしての完成度は、
「食べにくい」のです。
ラッピングを開けたとき、揚げ物・レタス・
トリキバーガーの価格
次に、価格について。
安くはありません。
「鳥貴族のDNAを有する」とのことでした。が、
ただし、全品同一価格は、
味と価格を総合すると、「普通」のバーガーチェーン。
「普通に美味しい」トリキバーガー。はたして、
鶏肉ブームの背景
なぜ、鶏肉ブームが定着しているのか。理由の一つとして、「
鶏肉は高タンパク質・低カロリー。だから、
そこで、本稿ではヘルシーとは
「タンパク質が多く、カロリーが低いこと」
と定義し(※)、
尺度として、(今回勘案した)タンパク質含有率を用います。
タンパク質含有率(%)=タンパク質(カロリー)/全体カロリー
(タンパク質は、1グラム4キロカロリーと換算します)
食品の総カロリー中タンパク質がどれくらいを占めるか、
はたしてトリキバーガーはヘルシーでしょうか?
【他店の、揚げた鶏肉バーガーとの比較】
トリキバーガー:16.7%(=タンパク質20.6グラム×
ケンタッキー
チキンフィレサンド:18.8%(=19.5グラム×
モスチキンバーガー:15.7%(=15グラム×
トリキバーガーは、2番手。ケンタッキーよりやや低め。
参考に、他の商品も見てみます。
【具:牛肉】
モスバーガー:17.1%(=15.7グラム×4キロカロリー/
【具:蒸し鶏】
トリキバーガー
サラダチキン(バーガー):14.7%(=10.9グラム×
牛肉を使ったモスバーガーよりも値が低い。(
このことから言えるのは、
「鶏肉はヘルシーだが、鶏肉バーガーはヘルシーとは言えない」
ということです。
鶏肉は味が淡泊です。だから、揚げたり、
トリキバーガーは、特段ヘルシーというわけではない。よって、
ヘルシー志向とは異なるターゲット層への訴求が必要です。
安全志向をターゲット層とするには
トリキバーガーは、9月21日の決算説明会で
「おいしさ、そして安心・安全のため、
トリキバーガーは国産食材100%」
と述べました。同社ウェブサイトでも、
「安全」を強みにするのであれば、鶏肉ブームとは異なる層、
また、鶏肉ブームに乗るのであれば、高タンパク質・
これらの課題は、フランチャイズ化においても同様です。
鳥貴族は、
「今後3年で直営店10~20店舗。3年以降は、
フランチャイズを加え展開を加速する」
とも述べています。
3年間でどれだけ課題を解決できるでしょうか。
「普通」に仕上げるのは難しい
商品の味は「普通」と述べました。
商品以外の要素、待ち時間や店内の清潔感なども、
鳥貴族にとって、トリキバーガーは多角化事業です。
潜在能力が高いトリキバーガーの今後に期待したいと思います。
【参考・補足】
鳥貴族 2021年7月期決算説明会資料(20210921)
・各社栄養成分表
トリキバーガー
モスバーガー
ケンタッキー
※ヘルシーの定義
本稿のみの定義であり、実際に「ヘルシー」