スウェーデン、若年層へのモデルナワクチン接種停止と報道されました。
心筋炎と心膜炎のリスクのため、30歳以下の人のモデルナ製ワクチン接種を停止したという話です。スウェーデン当局は、「とりわけモデルナ製ワクチン2回目接種後の相関関係は明白」としています。また、デンマークも、年齢18歳以下に対するモデルナ製ワクチン接種の停止を発表しました。
今一度、接種回数に着目してデータの分析をすることにしました。厚労省が公開しているデータをVBAを用いて自動集計し、グラフを作成しました。
報告例は、178例まで増加しました。接種1回目が94例、2回目が84例でした。
モデルナ製ワクチンで65歳未満の症例を集計しました。接種1回目が23例、2回目が26例でした。
ファイザー製ワクチンとモデルナ製ワクチンの65歳未満の症例をそれぞれ集計し、表にまとめました。接種後8日以降は、偶発症例の可能性が高くなるため、接種後7日以内の症例に限定した集計も試みました。倍数は、2回目の症例が1回目の症例の何倍かを示しています。
ファイザーとモデルナでは、接種回数が大きく異なるため、厚労省が公開している接種回数データをもとに、ファイザーの人数を補正しました。
モデルナの方が多く、ファイザーの1.9倍です。
モデルナ製ワクチンで、接種後7日以内の症例を、更に詳細に分析してみました。10歳代、20歳代、30歳代、40歳代の人数を表にまとめました。発生確率も計算しました。接種100万回あたりの発生件数を示しています。
発生確率が高いのは、10歳代と20歳代です。
ファイザー製ワクチンで、接種後7日以内の症例を、同様に分析してみました。なお、人数は補正前のものです。
発生確率が高いのは、20歳代です。
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日本のデータを分析した結果、発生確率が高いのは、モデルナの10歳代と20歳代であり、スウェーデン当局の見解と一致しました。次に高いのが、ファイザーの20歳代でした。スウェーデンでは、30歳以下では、モデルナ製ワクチンをファイザー製ワクチンに切り替えるとしていますが、本当にそれで大丈夫なのか、若干疑問が残ります。
心筋炎の診断治療ガイドラインよりの引用です。
心筋炎のほとんどは無症候性に,あるいは他疾患に姿を変えて日常診療上現れている。
この一文は、非常に重要です。無症候の場合は、そもそも病院を受診しませんし、他疾患の症状で受診した時は、ほとんどの場合には心筋炎とは診断されないわけです。本当の発生確率は、前述のそれより、遙かに高い可能性があります。「10代男性、ファイザー製ワクチンの副反応がコロナ入院の確率より4~6倍高い」という報告もあります。日本でも、若年者のワクチン中断について、もっと議論すべきではないのかと、私は思います。
幸い、無症候~軽症の心筋炎は、自然治癒する場合が多いようです。増悪させないように、急性期をやり過ごすことが大切です。若年者のモデルナ製ワクチンの中断は難しいのかもしれませんが、せめて「接種後1週間は、激しい運動を控える」という注意喚起を公式にだしてほしいと、私は切に願います。