衆院選2021:気になる選挙区の選挙情勢

気になる選挙区の選挙情勢

様々なメディアが全国の選挙区の選挙情勢を報道しているが、バラツキがあまりにも大き過ぎて、何を信じていいのか分からなくなる。

SNSで選挙が終わるまでもう見たくない、という発言が飛び交い始めたが、私自身この種の報道には食傷気味だと言わざるを得なくなった。

衆議院選挙

これまではこの種の世論調査にはそれなりの信頼性があったのだが、どうも今回の衆議院選挙に関してはまり当てにしない方がよさそうである。

いずれの報道にもそれなりの裏付けがあるのだろうが、基礎となるデータが示されていないので、今一つ信用性に乏しい。

参考になるのは、直近の参議院補欠選挙や首長選挙の結果だろうが、それも各地域ごとの特殊事情が反映されているので、生のデータだけでは今回の衆議院選挙の趨勢を占う資料にはなりそうもない。

現時点で最も参考になりそうなのは、やはり期日前投票についての出口調査だろうが、期日前投票が増えていることは分かっても、それぞれの候補者に対する投票行動の趨勢がまったく分からない。

期日前投票に動員が掛かっているのかいないのか、期日前投票をしている方々の属性はどうなっているのか、一般の方々の投票意欲はどうなっているのか、ビラの受け取りをはじめ街頭演説会場での聴衆の反応はどうなっているのか、各候補者の運動ぶりはどうなっているのか、等々知りたいことは沢山ある。

候補者本人が街頭に立ってビラを配っているのに、誰も受け取ろうとしていないし、話しかけようとする人もいない、などという光景を目撃すると、ああ、この候補者の選挙運動は空回りしているな、ということになるのだが、これもビラ配りの時間帯や天候に影響されることが多いから、通行人が候補者を無視しているように見えても、それだけでその候補者が有権者から無視されていると即断するのは早計だろう。

そういう意味では、各候補者の選挙事務所を満遍なく訪問して選挙区の選挙情勢を直接取材している地域の記者クラブに所属されている記者の皆さんや選挙違反取り締まり等のために各候補者の選挙事務所に出向いて、各候補者の選挙スタッフから直接話を聞いて回っている警察関係者の方が一番当該選挙区の選挙情勢に通じていることになるのだが、そういう情報は滅多に一般の人には伝わって来ないから、大方の人は本当のことは何も知らない、ということになりそうだ。

私が目下注目しているのが、

  • 選挙の鬼などと言われている立憲民主党の中村喜四郎氏の茨城7区
  • 同じく立憲民主党の元総理・菅直人氏の東京18区
  • 立憲民主党の現代表の枝野氏の埼玉5区
  • 選挙の公示直前に選挙区替えになった立憲民主党の井戸正枝氏の東京15区
  • 宇宙母さんのニックネームがある立憲民主党の水野素子氏の東京16区
  • 剛腕政治家として知られる立憲民主党の小沢一郎氏の岩手3区
  • 互角の戦いなどと朝日で報じられた立憲民主党の安住淳氏の宮城5区
  • 無所属で立候補している細野豪志氏の静岡5区
  • 同じく無所属の福島伸享氏の茨城1区
  • 同緒方林太郎氏の福岡9区
  • さらにはれいわ新選組の唐突な出馬表明で俄然脚光を浴びることになった自民党元幹事長の石原伸晃氏の東京8区

等の選挙情勢である。

朝日の10月26日の全国の選挙区に係る選挙情勢報道がどの程度正しかったのかがまもなく明らかになる。

ほう、維新が40議席台との報道まで出て来たか

そこまではなー、と思っているが、維新が最大で41議席まで獲得しそうだ、などという報道を見ると、維新に対する世間の評価が相当優しくなったようだ。

蓋を開けて見るまで分からないのが選挙だが、選対の皆さんはそれなりに手応えを感じておられるのだろう。

維新も分裂騒動や不祥事議員報道で一時は随分力を落としたような感じだったが、ようやく安定軌道に乗ってきたのかも知れない。

立憲民主党と共産党の選挙区調整や選挙協力で立憲民主党がそれなりに議席を増やしそうだが、しかし関係者の皆さんが期待されていたほどの大きな成果には結び付かないようだ。
頑張っている候補者が結構おられるが、どうも比例区での伸びがそれほどではなさそうである。

比例区での得票がグングン伸びるようであれば、立憲民主党に風が吹いてきたことがよく分かるのだが、比例区を見る限り立憲民主党の党勢は伸び悩みのようだ。

それでも私がエールを送ってきた立憲民主党の女性候補者の方々は順調に支持を獲得しているようなので、選挙が終わった後の立憲民主党の雰囲気はかなり変わりそうだ。

折角女性議員を増やそうという動きが本格化していたのに、女性の候補者の擁立は期待していたほどには進まなかった。

そういう情勢の中で女性の議員が増えそうだということは、いいことである。

ここからが苦しいだろうが、最後までしっかり頑張っていただきたい。


編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2021年10月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。