気が付かないうちに踏んでいるかもしれない「地雷」

xijian/iStock

人の感情と言うのはデリケートで、とても難しいものです。

相手の立場を慮って伝えているつもりの言葉が、逆に相手を怒らせてしまったりイライラさせたりする。そんな「地雷」を踏んでしまうリスクが日常に潜んでいます。

先日、友人と話していた時に何気なく「これからは男性も家事や子育てを手伝うのが当たり前の時代だよね」と話しました。

こちらとしては男性も家事や育児に積極的に関与すべきと伝えるつもりだったのですが、友人からは「「手伝う」という言葉が自分事で無いように聞こえて、女性はイラっとする。「手伝う」のではなく、同じ立場で共同でやっていくという視点が必要」と指摘されました。

男女平等というつもりで発言したのですが、そうは伝わらず、逆効果だったようです。

私の世代(昭和バブル世代)は、男は仕事、女は家事という古い固定観念が生まれながらに染み付いています。男尊女卑のような価値観など、とうに持っていないと自分自身では思っていても、新しい価値観をなかなか心のそこから受け入れることができない。

今回のように、ふと発した言葉の端々に、そのような古い価値観が顔を出してしまうのです。

本件に限らず、ある人にとっては当たり前の価値観であっても、別の人には想像もできない感覚と言うのは珍しくありません。価値観が大きく変わる時期には、育った環境の違いが大きくなり、世代による考え方の違いも大きくなります。

相手の価値観を理解しながら、その心に寄り添った配慮をしていく事は、簡単なようでなかなかできないことです。

ユーチューバーのような著名人が炎上騒ぎを起こし、バッシングされているのも、もしかしたら本人は無意識のうちに地雷を踏んでいるだけなのかもしれません。

私も、周りにいる人たちとの日常の会話だけではなく、講演やセミナーで話をする機会も少なくありません。また、このブログやメールマガジン、書籍など、たくさんのコンテンツを配信しています。

もしかしたら、気がつかないうちに今回のような「地雷」をたくさん踏んでいるのかもしれない。

そう考えると、何だか少し怖くなってきました。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年10月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。