「R>G」に気が付く人がようやく日本にも増えてきた

数年前に日本でもベストセラーとなったフランスの経済学者トマ・ピケティー氏の「21世紀の資本」。

この本が世界的に人気となったのは、「r>g」という不等式によって、世界経済の問題点を指摘したところにあります。

ピケティ氏 Wikipediaより metamorworks/iStock

ピケティー氏は、18世紀までさかのぼって各国の経済データを分析し、r(資本収益率)がg(経済成長率)を上回っているという分析結果を導き出します。

つまり、資本を使って運用することによって得られる富(r)は、労働によって得られる富(g)よりも成長速度が早いことを示しています。これが、富める者をより豊かにし、格差を拡大する要因になっていると指摘したのです。

ここ数年、日本でも資本を使って行う資産運用が大きく注目され、経済的豊かさを実現するためには、働くことよりも資産運用が必要との考え方が広がってきました。

私はFIRE(Financial Independence, Retire Early)のような早期リタイアで仕事をやめてしまうことは薦めませんが、仕事をしながら並行して資産運用して、お金にも働いてもらう事は、極めて重要だと考えています。

問題はその方法です。様々な資産運用の指南をする「専門家」がいますが、そのほとんどは継続性や再現性のない方法です。

「r>g」の重要性に気がつくことも大切ですが、それをどのように具体化していくかを間違えると、思わぬ結果になってしまいます。

資産運用には経済的合理性にかなった「正しい方法」が存在します。金融資産には金融資産の、実物資産には実物資産の運用方法があり、その2つをどのように組み合わせるかというアセットアロケーションを中心に資産運用するのがベストな方法だと考えます。また、お金の借り方も重要なテーマになります。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年11月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。