日本経済新聞の報道によれば、会計検査院が2020年度の税金の無駄遣いをまとめました。210件で総額約2108億円を指摘しています(図表も同紙から)。
この金額には含まれていませんが、いわゆる「アベノマスク」(布製マスク)は2021年3月末時点で約8272万枚が倉庫で保管され、保管費もかかっているそうです。しかしこれは目に見えて、わかりやすい税金の無駄遣いです。
会計検査院が指摘しているこれらの無駄遣いよりも、実質的にもっと大きな無駄は、国民への給付金のばらまきだと思います。
昨年の一律10万円の支給の際は、振り込み手続きに莫大な手間とコストがかかり、大きな混乱が起こりました。今回、政府は年齢制限をして、再度同じような給付を行うようですが、事務コストや自治体の職員への負荷を考えると、費用対効果に見合ったものと言えるのでしょうか?
今回は更に対象範囲をどうするか線引きをして支給しなければなりませんから、一層面倒な作業になります。
ところが、予定通りに手続きが執行されている限り、このようなコストは無駄と指摘されることはありません。
手間とコストを払って支給されたお金が貯蓄に回って、それが将来の返済に回るだけでは、お金が無駄に動いているだけです。国民に広く支給したお金の原資は、受け取っている国民が将来返済することを考えれば、貯蓄するのは合理的な経済行動です。
確かに、コロナ禍で生活資金に困っている人にとって、この給付金はありがたいものであることは事実です。しかし、生活資金をサポートするのであれば、貯金に回らないような期限付きのポイントで支給するといった工夫ができるはずです。
お金をもらえるのは誰でもうれしいものです。でも良く考えれば給付金とは「もらえる」ものではなく、「将来自分たちで返済する」ものであることに気が付くべきです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2021年11月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。