責任者の一番の仕事は「責任逃れ」ではない

森田 洋之

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いま、病院・施設にいる高齢者はみんな泣いている。

この2年間ずっと隔離・収容され、家族にも会えず外出も出来ずカゴの鳥だったのだ。この間に亡くなった約200万人の方々は家族とも会えずに亡くなった。

日本人の約8割は病院で死ぬのだから。

学校では子供が無言で給食、廊下で話していたら通報され校内放送で叱られる。やっと行けた遠足も、バスの中ではマスクと沈黙がルールだ。

医療従事者もそう。県外旅行・外食禁止など、いまだに苦行を強いられている。

いま新型コロナの感染は収束し、一週間連続陽性者ゼロという県も多い。

我々はいったい何を守っているのだろう?

我々は、子供たちやおじいちゃん・おばあちゃん、医療従事者の幸福にもまして、「世間の目」を重視しているのではないだろうか?

財政破綻した北海道・夕張市の医療を一手に請け負った故・村上智彦医師、私は彼からこう教わった。

責任者の一番の仕事は「責任逃れ」ではなく、「みんなの本当の幸福のために決断し、行動し、いざとなったときにケツを持つ」こと。

いま、誰もが「責任逃れ」に精一杯の世の中になってしまった。

私は本当にやるせない気持ちでいっぱいだ。

この世界を受け継ぐ子どもたちに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだ。

せめて自分だけは、「みんなの本当の幸福のために決断し、行動し、いざとなったときにケツを持つ覚悟」を持ちたいと思っている。