矢野監督の「采配」では今後も優勝できない阪神タイガース

巨人とのクライマックスシリーズ阪神敗退

筆者は長年の地元阪神タイガースファンであるが、11月6・7日の今回の地元甲子園球場における巨人とのクライマックスシリーズの第一、二戦での阪神敗退を見て、今後も矢野監督の「采配」では阪神タイガースは優勝できないと確信した。

来季の続投が決まった阪神・矢野監督 NHKより

阪神は、ペナントレースで11ゲーム差もつけていた3位巨人に不甲斐なくも連敗し敗退したのである。16年ぶりのペナントレース優勝を逃し、今またクライマックスシリーズで敗退した。全国の多くの阪神タイガースファンの怒りと悲しみと落胆はいかばかりであろうか。

両監督の「采配」の大差

阪神敗退の理由は、ひとえに、両監督の短期決戦での「采配」の巧拙にある。両軍選手が極度に緊張しプレッシャーがかかる大事な短期決戦では、少ないチャンスを如何にものにするかが勝敗の分かれ目になるのが常識であろう。

その点で、原監督は第一、二戦とも「送りバント」を多用し、少ないチャンスを必ずものにしたが、矢野監督は「送りバント」をしないため、何度もチャンスをつぶした。第二戦での残塁13個がこれを示している。矢野監督は「チャンスに一本が出なかったから負けた」旨を述べているが、そうではなく、送りバントをしない「采配」の巧拙の問題である。

両監督の「采配」の巧拙は、ノーアウト一塁の場合に、一、二戦を通して、原監督は、次打者がたとえ丸選手やウイラー選手のような強打者であっても必ず送りバントをさせ、ランナーを得点圏である二塁に進塁させた。そして相手投手にプレッシャーをかけてヒットを生み、得点をもぎ取り、試合の流れをつくった。

阪神OB解説者川藤幸三氏の指摘

これに対して、矢野監督は、ノーアウト一塁の場合でも、送りバントを一切せずに次打者に打たせて何度もチャンスをつぶした。このことは、第二戦のテレビ中継で阪神OB会長の川藤幸三野球解説者も「何よりも得点圏にランナーを進塁させてチャンスを作り、一本のヒットで得点することが接戦に勝つための鉄則だ。」と再三再四指摘していたことである。

この指摘に反して、得点圏にランナーを進塁させるための「送りバント」を一切せずに、チャンスをつぶしていたのが矢野監督の「采配」である。それが矢野監督一流の「攻撃野球」かもしれないが、「采配」に原監督のような臨機応変の柔軟性がなく、送りバントを一切せずに打たせていた。しかし、送りバントのない、「攻撃野球」一辺倒では、ダブルプレイなどで折角のチャンスをつぶすことが多く、残塁がやたらに多くなり、ヒットの割には点が入らず、得点効率が悪いのは常識であろう。

「矢野采配」では今後も阪神は優勝できない

セ・リーグで阪神と競り合い優勝したヤクルト高津監督も「好機を逃さずに一点でも多く奪い、一点を大事に守る野球」(10月27日産経新聞スポーツ欄参照)の重要性を強調されていた。その通りであろう。特に優勝のかかった大事な試合では尚更のことであろう。

しかし、上記の通り、矢野監督には、原監督や高津監督のような、「一点を取りに行き、一点を大事にする采配」は見られない。送りバントをせず、攻撃野球一辺倒の大味な「矢野采配」が続く限り、クライマックスシリーズなどの優勝が懸かる大事な試合では勝てず、阪神は今後も優勝できないであろう。長年の一阪神タイガースファンとして憂慮に堪えない。矢野監督には今回の「敗退」と「采配」を猛省し、「送りバントをしない采配」を根本的に見直し改めていただきたい。

阪神球団への強い要望

プロ野球における監督は、作戦、用兵、采配など、その役割と責任は重大であり、とりわけ、クライマックスシリーズや日本シリーズなどの短期決戦の場合は、強いチーム同士の戦いであるため接戦が多く、過去の歴史を見ても、監督の「采配」の巧拙で勝敗が左右されることが少なくないと言えよう。願わくば、監督として百戦錬磨で優勝経験豊富な前ソフトバンク工藤公康監督の阪神招聘を阪神球団に強く要望したい。

拙稿は長年「阪神優勝」を切望し阪神タイガースを愛するが故の提言である。