立憲民主党は代表選での公開討論が政策政党への一歩となる --- 青木 潤

立憲民主党オフィシャルサイトより

NHKの日曜討論(11月7日)で、一橋大の中北教授が立憲民主党の衆院選の敗因として、野党共闘でしっかりした枠組みを示せなかったことと、外交・安全や経済など基軸となる政策できちっとした対案を示せなかったことをあげていた。立憲民主党は中北教授が「対案を示せなかった」と言われたように、外交、安全、経済等国の基軸になる政策を持っていないのか、持っていても党内議論が十分なされておらず選挙公約に出せなかったのかもしれない。つまり国民にとって立憲民主党の国家感(像)が見えないのだ。

今回の立憲民主党の代表選挙は単に党内で枝野路線を踏襲するのか体質転換を図るのかだけでなく、国民に立憲民主党の国家像を示すものでなければならない。立憲民主党の再生を目指す代表選挙とするためには、ぜひとも公開の場で政策論争をしてほしい。立憲民主党が政権政党を目指すためには避けて通れない下記テーマで議論すべきである。

  • 共産党との共闘を続けるのか。
  • 憲法改正へどう臨もうとするのか。
  • 平和安全法制の違憲部分(集団的自衛権の行使容認)を改正して日米安保をどのように再構築するのか。
  • 再生可能エネルギーに関して原発再稼働をどうするのか。

日テレニュース(11月9日)で代表選へいち早く意欲を示した小川淳也氏が地元香川の支持者から共産党との共闘を問われ、「それは非常に大きな質問だが、今日は日本テレビさんもおられる中で、我が身、我が思いだけで突っ込んでいいことと・・・」と口を濁していたそうだ。また、BSフジのプライムニュース(10月13日)でキャスターが泉健太政調会長に「安全法制を改正することによる日米安保への影響をどう考えるのか」と聞いた時、泉氏は(困ったような表情で)「政権を取ってから真剣に取り組んでいく」と述べていた。両氏の言いぶりから公開討論はどうしても日本記者クラブでやるべきだと思う。立候補者が一方的に持論を述べるだけでなく、他の候補者に問いかけることと記者からのそれぞれの違いを問い詰める必要性がある。

NHK(11月17日)は立憲民主党の代表選挙に立候補されようとしている逢坂誠二氏に「憲法改正ではどのように臨まれるか」と聞いていた。逢坂氏は「憲法審査会が静かな雰囲気の中で話し合われるのであれば出席もやぶさかではないが、審議会が改正ありきとなっていることから党内で十分議論したうえで・・・」のようなことを言っていた。要は逢坂氏は「党首となっても出席する、しないの議論を擁す」との意見であった。また、泉氏は「出席しましょう」と言っていた。

やはり立憲民主党の代表選挙では、この党は憲法改正一つをとっても意見が分かれていることから、日本記者クラブのような所での公開討論が必要だと痛切に感じている。日本記者クラブは是非とも立憲民主党の代表選において公開討論を呼び掛けてほしい。

自民党の総裁選が日本記者クラブで公開討論をしたことが国民の選挙への関心を高めるとともに、自民党の多様な政策の理解を得ることとなった。今度は野党第一党の代表選挙だ。立憲民主党も開かれた党として国民の前で政策論争をすることが党再生への第一歩となるはずだ。

立憲民主党代表選挙は19日告示、30日投開票。立候補者は立憲民主党の党首を目指すだけでなく、いずれ自分が日本を背負っていくとの気構えで論戦に臨んでほしい。

青木 潤
年齢70代後半。公務員OB。自宅(三田市)と実家(丹波市)交互の生活を楽しんでいる。趣味は読書と楽農。自身のブログ「田の神様つぶやき」を哲学喫茶(政治喫茶)にし、火床(ひどこ)を目指したい。


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