ひと月程前、私は『野党共闘に思う』と題したブログを書きました。政道(…政治の思想・哲学に当たる部分)なき政治は退廃に向かうより他なく、それは過去が証明している所である等と指摘したわけですが、今回の結果つまり立民・共産の敗北は、基本その正しさを改めて示すものとなりました。
その中で、漁夫の利の如きを得たのが何所かと言えば、御承知のように維新と国民です。維新は、その議席数を凡そ4倍にし、第3党に躍り出ました。これからの一つの流れとして自民・公明の対立軸は、立民・共産でなく維新・国民が形成して行くのではないかと見ています。
唯、自民・維新がもっと近くなって行くといった状況も生じるかもしれません。私は、今回公明が掲げた「バラマキ公約」につき全くナンセンスだと思い、好ましく捉えていません。今時分もう少し有効なお金の使い方があると思います。月初より見られた光景は、自公連立の限界・弊害を如実に物語っていると思います。
公明の獲得議席数は精精30程度で、今後も飛躍する可能性は見込めません。他方、維新・国民が上手に全国展開出来たとしたら、公明に代わる勢力に成り得、自民からすればより頼りになる存在に成長するかもしれないです。同時に此の勢力から、自民は様々な事柄で牽制を受けることになるでしょう。
一党独裁的な政権が続くのは望ましくなく、やはり日本でも将来二大政党制が形作れたらと思います。嘗ては民主党の体たらくでその芽は潰え、大失敗に終わりました。これから後、維新・国民とり分け維新が如何なる変身を遂げて行くかが、日本政治の未来を左右することになるのではないかという気がします。
それからもう一つ、これまでのように野党勢力が御粗末な場合、派閥が機能し自民内部で政策的に切磋琢磨が出来るという良い部分もあるように思います。
菅前首相は派閥を持っていなかったが故、政権維持が困難になりました。歴代総理の中で最も仕事師であったと言っても過言でなく、その短い在任期間における仕事は極めて重要かつ大なるものであったにも拘わらずです。
新型コロナ関連の各種対応は言うまでもなく、菅さんは、学術会議の改革に向けた動きに始まり、福島第1原発の処理水の海洋放出の決定、デジタル庁の創設、コロナ禍でのオリンピック・パラリンピックの遂行、50年脱炭素目標の表明、携帯料金値下げに向けた「アクション・プラン」の公表、不妊治療への保険適用拡大の閣議決定、気候変動サミットでの30年目標の表明、等等と数多の成果を残されました。
総理として僅か1年で之だけやれる立派な人物は先ず居ないだろうと見ていましたが、結果として派閥による多数の力で潰されてしまいました。従って菅さんも此の際良い意味で派閥を持つことは大事ではないか、という気がしています。
編集部より:この記事は、北尾吉孝氏のブログ「北尾吉孝日記」2021年11月18日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。