新刊「官邸は今日も間違える」が出ます。
2020年11月18日に、初めての著書「ブラック霞が関」(新潮新書)を出版しました。
官僚を辞めてからすぐに、霞が関の過酷な働き方を明らかに、改善していくために書いた本です。
それ以来、新聞、テレビ、ラジオ、ネットニュースなど様々なメディアにも取り上げていただき、多くの方に読んでいただきました。Amazonでは294のレビューをつけていただきました(2021年11月17日現在)。
本当にありがとうございました。
おかげさまで、この問題に取り組んでくださる国会議員の方々も増え、質問通告が早くなったり、これまで議員が官僚に説明に来させていたのをオンライン会議でOKにしたり、政党の会議がペーパーレス化されたり、遅ればせながら変わってきていることも色々とあります。
また、骨太の方針(政府の一番大きな大方針)に国家公務員の働き方改革がようやく位置づけられるなど、政府も本腰を入れています。河野前国家公務員制度担当大臣のリーダーシップで、サービス残業もなくしてちゃんと残業代を支払うように変わってきました。
まだまだ、抜本的に変えないといけないことは政府側にも国会側にもありますが、多くの方が関心を持っていただき、社会課題になると、ちゃんと政治は動いてくれるということを、改めて実感しています。
霞が関の働き方改革については、引き続き働きかけを続けていきますので、よろしくお願いいたします。
さて、今日お知らせしたいのは新刊です。前作の「ブラック霞が関」から約1年経ち、2021年12月17日に、2冊目の著作が出版されます。
タイトルは
「官邸は今日も間違える」
です。
学校の全国一斉休校、アベノマスク、10万円の定額給付金、アビガン錠の承認、接触確認アプリCOCOAの不具合などなど、コロナ禍では政府の打ち出す政策にとても注目が集まったと思います。
中には、「なぜこれを?」と思うものや、決めたけどなかなか届かないなど、疑問に感じる方もたくさんいたのではないでしょうか?
どうして、そういう政策が次々とできてしまうのでしょうか。
変な政策ができてしまうこと、うまくいかないことには、必ず理由があります。
僕は、長く官僚として政策をつくってきました、そして2年前に官僚を辞めて独立し、政府の会議の有識者会議委員をやったり、民間からの政策へのアプローチに取り組んだりしています。
だから、人一倍、今の日本の政策プロセスが見えるし、問題点を強く感じます。ここ数年、本当に日本の政策プロセスは壊れてきていると感じていますが、コロナ禍では、本当に色濃く出たと思います。
それは、コロナ禍の政策は、みんなに不都合のない結論が出せないという難しさがあり、また、今結論を出さないといけない、先送りできない状況だったからです。
この本では、僕の知識をフル動員して、今の政策プロセスの構造を解き明かしました。
構造を解き明かした上で、改善の提案も書きました。
単に誰かを悪者にしたり、批判したりするだけでは社会はよくならないからです。
官僚や政治家の生態や組織の構造と課題を紐解きつつ、改善に向けた提案を後半に書きました。
霞が関が変わらないといけないこと、国会が変わらないといけないこと、たくさんあります。
そして、変わっていくために、一番必要なことは国民の声です。
国は、民間企業と違って、売り上げや利益といった数字で危機感が共有されて変わっていくものではありません。倒産もありません。
その代わり、外圧で変わっていくのです。
間違いなく、今政治的に一番力を持っているのは国民です。だから、政策をよくしていくために、この本は政策のプロだけでなく、多くの生活者やビジネスパーソンなどに向けて書きました。
今の政策プロセスの最大の問題は、生活者や現場と政策の意思決定の距離が広がっていることです。
本当に国民に届くよい政策をつくるためには、両者の距離を新しい時代に合った形で近づけていかないといけません。
アフターコロナも日本は、人口減少、少子高齢化、低成長、社会保障や財政の問題、孤独・孤立、エネルギーや環境問題、地方の消滅の問題など、課題が山積しています。
よい政策プロセスをつくることは、よい未来をつくるために必要不可欠なことです。
それが、僕の人生のテーマでもあります。
これからも、聞き、考え、伝え、動き、仲間を増やし、政策を前に進める活動を続けていきますが、多くの方に「官邸は今日も間違える」を手に取って読んでいただき、一緒に考えていただければ、とても嬉しいです。
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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2021年11月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。