インフラ計画法案、気になる経済効果は?

バイデン大統領が「一世代に一度の投資」と呼ぶインフラ計画法案が、遂に日の目をみることとなりました。

インフラ計画法案にサインするバイデン氏 同氏FBより(編集部)

上院が超党派で8月に通過したインフラ計画法案(Infrastructure Investment and Jobs Act、以下IIJA)は、11月5日に下院で228対206にて可決。10年間で約1兆ドル、新規投資に5,500億ドル割り当てられた同法案は、共和党議員13名の支持を得た半面、オカシオ-コルテス議員(NY州)を始めクアッドと呼ばれる2018年当選の女性議員4人をなどプログレッシブが反対にまわりました。

しかし、バージニア州知事選での敗北により、社会保障や気候変動対策を含んだ1.75兆ドルの歳出法案との一体化については、プログレッシブの大半は断念せざるを得なかったようです。

気になるIIJAの経済効果はというと、ゴールドマン・サックスによれば2022年の成長率を0.2%ポイント2023年は0.3%ポイント押し上げる見通し。バイデン政権下で成立した現金給付を含む1.9兆ドルの追加経済対策の場合、ペンシルベニア大学ウォートン校は2021年に0.6ポイント押し上げると試算していたことを踏まえれば、控え目となります。

チャート:IIJAの主な内容

iija

(作成:My Big Apple NY)

ただ、長期的に米国の生産性を引き上げることに間違いありません。ムーディーズによれば、米国の生産能力は0.04%ポイント引き上げられる見通し。足元の米国の潜在成長率が1.9%であることを踏まえれば、潜在成長率は1.94%へ小幅に拡大することになります。また、同社はIIJAにより雇用は2025年までに66万人増加すると予想。ホワイトハウスのベイツ報道官も、別機関の予想として2024年までに約50万人の雇用増が見込まれると言及しており、ある程度の押し上げが期待できるでしょう。なお、2021年の10月までの年初来で非農業部門就労者数は582万人増、2019年は201万人増であり、雇用の伸びもある程度の範囲内にとどまりそうです。


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2021年12月5日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。