いよいよ大都市においても条件付きで許可を得ずにドローン飛行が可能となってきた。
私は様々な実証実験がしやすい環境を創り、未来においては空の道を整備し、スターウォーズなどで見られる社会、世界を作り出すための礎を築きたいと考える。
中野区は、国立研究開発法人建築研究所、一般社団法人日本建築ドローン協会及び一般社団法人日本UAS産業振興協議会との4者で、ドローンを活用した共同研究を実施するため、相互協力に関する覚書を2021年5月6日に締結した。
都市部における建物調査ドローンの開発に向けた共同研究を行い、実証実験や社会実装に向けた課題整理などに取り組んでいく。
この覚書を締結する前段として、中野区役所および中野サンプラザで実験が行われた。
その概要については以下の二つのエントリーをご参照されたい。
・ドローン、23区内の空を舞う:都市部での建物診断に活路
・ドローンの方が人より安全か?中野サンプラザの建物診断で実証実験!
上記エントリーで触れているが、とにかく都市部でドローンを飛行することは簡単ではない。
国は無人航空機の有人地帯における目視外飛行、いわゆるレベル4を目指している。
無人航空機はドローン、有人地帯は都市部を含む人口集中地区、目視外飛行はパイロットがドローンを目視せずに運転することを意味し、特に都市部の飛行には多くのハードルが存在する。
レベル4でのドローン社会実装の実現をゴールとし、PHASEを4段階に分ければ、建築ドローンはPHASE2にあたると考えている。
都市部での建築ドローンの成功はレベル4実現に向けた試金石となると考える。
令和3年9月24日、河野太郎行政改革担当大臣(当時)の肝いりでドローン飛行に関する規制緩和が進められ、国土交通省は航空法施行規則のドローン等の飛行規制に関して一部改正、緩和を実施した。
これにより、都市部においても地表から150m、建物から30mのドローン飛行が可能となった。
無論、規制緩和されてもそれぞれの土地所有者、管理者には許可は必要である。
またすべての許可を得たとしても、現時点で、都市部でドローンが飛行していれば、不審に思った方から警察へ通報される事例もあり、周辺住民・通行人への配慮、ドローンの実証実験へのご理解が必要となる。
そのために本実験チームでは見た目の印象からも安全なラインを使ったドローン飛行を行っている。
写真は過去の実験の様子だが、ラインはマグロを釣るのに使用する糸で、建物屋上と地面の2地点で固定し緩みはなく、そのラインに括り付け、ドローンが上下のみ移動できるようにしている。
落下地点を固定することで不特定な場所への落下を防ぎ、安全を担保した。
そして今後はこの手法を応用した多様な建物診断方法を検討してくため、さらなる安全性の検証が必要である。
少しでもご懸念を払拭してもらうためにドローン落下により破片が飛び散らないかを検証するため、11月上旬に福島県南相馬市にある福島ロボットテストフィールドにてドローンの自由落下による破壊検査を行った。
落下により破損することはなく、落下地点周辺以外に危険が及ぶことがないことを確認した。
この成果をもって、新たな実験を近々行う予定である。