ベネズエラを20年で完全に崩壊させた2人の国家指導者チャベスとマドゥロ

ベネズエラの76.6%の世帯は、収入で基本的な食料をまかなえず極度の貧困に苦しんでいる。
出典:Semama.com

GDPが6年で120%も後退

僅か20年余りで国を崩壊に導いたウーゴ・チャベス氏とニコラス・マドゥロ氏の二人の大統領によるボリバル社会主義革命の悲惨さを知るのにGDPを見れば一目瞭然だ。原油価格が下落を始めた2014年から2020年までに累積GDPはおよそ120%後退している(GDPの推移表から引用)。

それを国の収入面から見ると、2012年に国は900億ドルの収入があったのに対し、2020年には僅か50億ドルとなって94%も国の収入が減少している。

 ボリバル社会主義革命という虚構

社会の貧富の格差をなくすとして登場したウーゴ・チャベス少佐であったが、原油の輸出であげた富を国の産業化の為に投資することはなく、それを浪費するだけであった。

貧困層に対しては医療無料制度を設けたり、食料の支給などを実行した。しかし、企業に対しては利潤を上げることを制限し、事業の成長への意欲を削ぐ方針を貫いた。国の経済に重要だと思われる事業は国営化し、その運営を企業経営が全くの素人である軍人らに任せた。その一方では自らの私服を肥やすことは熱心で、例えば輸入商品には二重価格を設け、その支払いでは高い価格の方で政府は支払いを済ませ実際の価格との差額を自らのバックマージンとした。

それを証明するかのようにベネズエラ出身の富豪のひとりはチャベス氏の遺産を譲り受けた長女マリア・ガブリエラ・チャベス氏だ。

また彼が掲げる反米主義に共鳴する国には安価で原油を提供した。即ち、国家の発展の為には何もしなかったということだ。それをニコラス・マドゥロ氏も踏襲したというわけである。

国家は指導者の私物と化している

この二人の独裁政治を批判するメディアを統制するのにそれを買収したり、また新聞の場合は印刷に必要な紙の供給をストップさせた。それでも反政府派として報道を続けるメディアに対しては、法的に活動を停止させる行動に出た。司法の独立性は失なわれており、政府の望むままに判決を下している。

チャベス氏とマドゥロ氏の私物化となっている国家は経済的に崩壊し、今では国民の95%が貧困層とみなされるようになり、その内の77%は極貧困層となった。

ベネズエラの人口は2800万人であるが、これまでに600万人が食糧難などが影響して出国している。食料以外にも医薬品や燃料などすべての物資が不足している。

産業化を図って来なかったので、大半が輸入に頼らざるを得ない。ところが、原油の開発を怠り輸出が後退して外貨が不足。その影響で物資を輸入することができない状態が続いている。ガソリンは制裁の隙間をぬってイランから輸入している。

就業者よりも失業者の方が多い

職に就いている人は僅かに760万人。一方、810万人は失業者でその内の360万人は職を見つけるのを諦めている人たちだ。

民間企業に勤務している人の58%は極貧困層にある一方で10%は生活に困らない層。それを公務員で見ると75%が極貧困層にあり、僅か4%が生活に困らないとされている。

公務員の給与は12ドルに対し、民間企業に勤務している人の給与は38ドルで個人業者は32ドル。

人口の10%が国の富の40%を占めている。

昨年3月から学校は休校となっている

学校は2020年3月以降は休校となっている(以上、9月21日付「エルパイス」から引用)。

休校と生活苦とで学生が仕方なく路上で働いているケースが増えている。

19歳のエディー・ブランコ君は家族の生活を支える為に働いている。仕事と言っても多くの企業が閉鎖などして活動しておらず小銭稼ぎの仕事しかない。彼は16歳の時から信号があるところで止まった車の窓拭きだ。「罵声を浴びせられたり、拳銃を向けられたこともある。抵抗せずに働くしかない」とEFE通信の記者に語ったそうだ。そこでの収入は1日に3ドルから5ドル稼ぎしかならないが、「盗みをやるよりもその方がましだ」とも答えたという(2021年10月13日付「EFE」から引用)。

また最近増えているのが両親が出稼ぎで出国したのに続いてこどもの仲間同士が親との再会を望んで出国しているケースが増えているということだ。

国民の辛苦をよそにマドゥロ大統領は彼の誕生日に歌手を読んで高額のギャラを払ったり、腕にはローレックスの時計をして贅沢三昧の生活をしている。