2年以上続く暴行を止められない:外国人技能実習制度の制度的欠陥 --- 北村 泰

岡山市内の建設会社でベトナム人技能実習生が繰り返し暴行を受けていた事件は、衝撃的な映像と共に大きなニュースとなっている。本人が監理団体に訴えていたにもかかわらず、骨折にいたっても尚暴行が続いた事実は技能実習生制度の明らかな欠陥が原因と言えるだろう。

ico_k-pax/iStock

監理団体は技能実習生と企業を指導し、違法行為がないよう監視する役割を担う。しかし監理団体の多くは運営資金を実習生派遣手数料に依存している。つまり企業は監理団体にとって「お客様」。外国人技能実習生制度がしばしば奴隷労働と揶揄される理由がここにある。

*制度の欠陥について詳しくは拙記事「技能実習生が絡んだ犯罪が多発する訳

参考:技能実習生「暴行2年続いた」 岡山で就労の外国人 監督機関調査 ー 山陽新聞デジタル(2022年1月14日)

バズる「ネタ」になっていないか

外国人技能実習生に対する暴行や違法労働、犯罪などのニュースは今に始まったことでは無い。ニュースになり、制度の問題が広く知られ、世論が喚起され、実習生をサポートする労組や非営利団体、シェルターも増え、制度改革を求める声は強くなっている。

一方、ここ数年間全く変わっていないのは報道メディアである。「制度が悪い」「政治が悪い」「人権意識が低い」と言うだけで、アクションを促さない。筆者が見逃している可能性は否定しないが、「地域の実習生から相談を受けたら」「違法労働の現場を目撃したら」等の対処法や通報窓口を報道と合わせて伝えているところを見た事がない。

匿名OKの公益通報窓口の周知を

実際に技能実習生と思われる人が暴行を受けている所に出くわしたらどうすればよいのだろうか。あまり知られていないが、外国人技能実習機構(OTIT)は公益通報を受け付けている。郵便またはウェブサイトから、匿名でも通報ができる。被害者の名前や関係性を記入する欄はあるが、分からない場合は「不明」で良い。匿名だろうと目撃談が数多く集まればOTITと言う組織の重い腰も動く。彼らも「通報が数多く集まっていたにもかかわらず、対応が遅れた」とはなりたくないからだ。

問題は多いが、多くの企業が依存している外国人技能実習制度。これを変えていく為には、メディアのパワーと地域住民の監視・通報が不可欠だと筆者は強く思う。文字数に制限があまりないウェブ記事の文末に、通報窓口のリンクと地域で技能実習生を保護しているシェルターへの問い合わせ先を掲載する。ほんの数行かもしれないが、故郷を離れ、人手不足の日本で奮闘する実習生らを守る大きな力となるはずだ。

*筆者が知るシェルターを運営するNPO:日越ともいき支援会

北村 泰
ベトナム語通訳・移民教育行政アナリスト。日本語ベトナム語バイリンガル、横浜国立大学中退。イデオロギーの戦いに終始する外国人を取り巻く議論と一線を画し、現制度の問題点と今後のあり方を発信。日橋塾代表。