新型コロナウイルス、指定感染症5類への変更を求む

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筆者は新型コロナウイルスについて、自身のブログ等でオミクロン株流行以前から、一貫して指定感染症5類への変更を主張してきました。

政府内では5類への変更が時々話題には上がるものの、変更がなされないまま現在に至っていますが、今流行しているオミクロン株の特徴(強い感染力、低い重症化率)を考えれば、まさに5類へ変更する絶好のタイミングだと思います。

以下、1類2類相当となっている現在の分類の問題点と、5類に変更する理由・メリットについて列記します。

現在の指定感染症分類がもたらす問題

①. 現在の分類のままだと、「入院の勧告・措置」などの制約で、普通の病院では入院させられず医療逼迫が起きやすい。

②. 1・2類相当感染症患者は、開業医が重症化患者の受入れについて病院に確認できないので、陽性発生届を出して保健所主導で動くしかない。

③. 上記①②により、感染者が急増すれば、保健所や医療機関の業務が逼迫し、自宅待機が急増、本当に治療が必要な患者を病院に運べず、命を助けられない恐れがある。

④. これまでの記録からして、軽症者や軽微な患者のかなりの人数が、過去に宿泊施設や自宅ではなく、医療機関に入院していた可能性が高い。

⑤. 上記④も影響して、「コロナ以外」の一般病床がひっぱくし、救急患者の多くがコロナ以外の理由で搬送を断られ、たらいまわしにされて亡くなるケースも出ている。その一方で、コロナ病床はオミクロン株の重症化率が低いこともあって、空床のところがかなりみられる。

⑥. 検査で確定した感染者は氷山の一角であり、無症状感染者が多いため実態はつかめず、一部の判明者だけ入院隔離政策を徹底しても焼け石に水である。

⑦. 2類相当だから新型コロナは怖い病気というイメージが生まれ、症状よりも感染することによる差別・非難を恐れる人が増えている。

⑧. 新型コロナオミクロン株の感染急拡大時に、従来と同じ感染対策(感染症2類相当のまま、保健所・医療機関が感染者・濃厚接触者対応を行うなど)を続けていけば、病床のひっ迫や医療従事者の不足は目に見えている。

⑨. 一方、陽性者・濃厚接触者が急増すれば、全く異常がないのに自宅待機を求められる人々が増え、企業・経済活動に支障が生じ、学校も休校・学級閉鎖が続くなど、特に子供たちへのダメージが大きい。

⑩. 感染経路の主体は、家族、友人、職場の同僚であり、感染のエビデンスが示されていない飲食店の規制や行動規制をしても、ほとんど効果は見られない。

指定感染症5類相当に変更する理由・メリット

⑪. 5類に変更されれば、軽症、中等症の患者は一般の医院でも診察可能となり、制約なく広く検査を受けられ、処方薬局で薬をもらうなど自宅で治療もできる。一方、軽症、中等症の患者を受け入れて医療ひっ迫している病院に、人材や医療設備の余裕が生まれ、重症者の受け入れがスムーズになる。よって自宅難民は減り、致死率、重症化率も下がるはず。

⑫. オミクロン株はデルタ株等従来型の特徴と大きく異なり、インフルエンザに似ており、インフルエンザではPCR検査実施や感染者・濃厚接触者を調べる必要はなく、自宅待機者が急増して企業や学校が機能不全に陥るリスクは少ない。

「オミクロン株はデルタ株よりインフルエンザに近い」と考える理由

「オミクロン株はデルタ株よりインフルエンザに近い」と考える理由 | 感染対策Online
感染症・呼吸器内科医としてこれまで多くの呼吸器感染症を見てきました。新型コロナウイルス感染症の第5波(デルタ株が主体)では多くの重症肺炎患者の診療に当たり、人工呼吸管理、またはECMO管理を追加したにもかかわらずお亡くなりになる方もありました。沖縄県では、年末・年始に、米軍の感染管理が日本のオミクロン対応と異なっていた...

高齢者の新型コロナ致死率は5類のインフルエンザよりやや高いようだが、新型コロナウイルス感染では、主因でなくても死後判明であってもすべて“コロナ死”となるので、人数はかなり割り引いて考える必要がある。

また、新型コロナは2年掛かって無症状まで含め感染者は約260万人、かたやインフルエンザは、冬1シーズンで毎年約1000万人が罹患(ほとんどは感染した時点ではなく、咳や発熱などの症状が現れ受診・治療する)するのに、医療崩壊したという話は聞いたことがない。

⑬. 現在日本では、5波の時と違って、対処しやすい環境(ワクチンの高い接種率、飲み薬や中和抗体の存在など)であり、発症してからでも開業医が直接患者を受け入れ、病院に連絡した方が迅速かつ的確な治療ができるはず。

⑭. 感染者数が激増すれば、オミクロン株のよう低い重症化率であっても重症者の絶対数は急増するので、医療逼迫が起きないためにも5類相当に引き下げるべきである。

⑮. 医療費は2類から5類にすると全額控除から一部負担になるが、特例として一定期間新型コロナの治療費を免除あるいは減額することもできるはず。

⑯. 過去の事例から、猛威を振るった感染症はほとんど弱毒化して、最後は人間と共存できるようになる。

⑰. 「5類に変更すれば把握できない感染者が増え、発症・重症者の治療漏れが起こる」という意見もあるが、コロナ患者の多くは軽症・無症状であり、これまでにも把握できない無症状感染者は相当数いたと推測できる。国民の大半は新型コロナ前より感染対策をこまめ実行しているので、必然的に感染拡大スピードは以前より低く抑えられる可能性が高い。

⑱. 指定感染症1類、2類のエボラ出血熱やSARSなどは、致死率がけた違いに高い反面収束するのも早い。かたや新型コロナはいつまでも収束しないので、早く5類に変更して無症状者・濃厚接触者の調査・追跡、入院勧告、外出自粛要請などをやめないと、経済や日常生活が破綻する。

最後になりますが、現在日本では、老衰や事故も含めて年間約137万人もの方が亡くなっています。一方新型コロナ感染による死者は、主因でない事例まで含めても年間1万人程度です。

人の命を軽んずるつもりはありませんが、治療・救命措置を施す順番は、新型コロナ感染の有無に関わらず、死亡の確率・リスクの高さであり、死因の99%以上を占める新型コロナ感染者以外の重病・救急患者を忘れてはならないはずです。

死亡率・重症化率などの客観的なデータに基づけば、やはり現在の新型コロナウイルスは、感染症5類にあたるのではないでしょうか?


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