自分は一所懸命に努力しても報われない。それなのに、周りにいる人たちは、大した努力もしていないのに、結果が出ている。そんな理不尽なことが当たり前の時代になりました。
努力が必ずしも結果に結びつかないことは、どの世界でも良くあることです。開催中の北京オリンピックを見れば、4年間の地道な努力がちょっとした運・不運によって、想定外の結果になることが、よくわかると思います。
しかし、努力が結果に結びつかないもっと大きな理由は、「何をやるか」よりも「どこにいるか」の方が遥かに大切だからです。
例えば、暗号資産で巨額の富を得た人たちは、血のにじむような努力をしたとは思えません。自分の資産を円の預金ではなく、海のものとも山のものともわからない怪しげな「通貨」を自分のお金の居場所を決めたことが全てです。
その情報収集能力によって「どこにいるか」を知り、リスクテイクする胆力によって実践できたという点では卓越していますが、そこから先は努力ではなく、勝手にマーケットが富を形成してくれました。
上昇するマーケットであれば、誰でも資産を増やせます。逆に、下落していくマーケットでは努力しても資産を増やすのは簡単ではありません。
彼らを羨んだり、ただのラッキーと馬鹿にするのではなく、自分が「どこにいるか」を的確に判断し、実践できたことを賞賛すべきでしょう。
風が吹いていないところでは、ピカピカの船であっても帆を立てても動きません。でも、風が吹いているところに船を持っていけば、例えそれがボロ船であっても、それなりに前に進むのです。
結果が出ないと嘆いている人は、自分の努力が足りないと自己嫌悪になる前に、自分がいる場所が正しいかどうかを考えてみましょう。風が吹いていない場所で帆を張って頑張っても船は前には進まないのです。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年2月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。