うまくいくコミュニティ、消えていくコミュニティ

最近、専門的な知識や情報を得たり、仲間と知り合うための「コミュニティ」と呼ばれる会員制のグループが増えています。自己啓発や資産運用といった実用的なものから、ワイン、サウナのような趣味の世界まで様々です。

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私も資産設計実践会という個人投資家が集まる資産運用コミュニティを7年前から主宰しています。現在は第14期の150人のメンバーと毎月の月例会やイベントを開催しています。メンバー以外には内容が一切公開されない「インナーサークル(内輪)」のグループです。

コミュニティに入ると、メンバー間で情報交換し、お金の不安を解消して、人生を豊かにするための具体的なコンテンツを手に入れられるメリットがあります。

半年で1サイクルになっていますが、8割近くの人が継続して参加しています。

このようなコミュニティを円滑に運営するためには、いくつかの条件があります。

まず、そのコミュニティでしか提供出来ない価値があることです。一般に流通している情報を提供しているだけでは、会費を払って参加することに価値を感じてもらえません。資産設計実践会であれば、ネット上では手に入れることのできない投資案件の情報や、資産運用の具体的方法に関して特別な価値を感じてもらえるようにしています。

また、コミュニティを構成するメンバーの顔ぶれも重要です。コミュニティでは、メンバー間のコミュニケーションも魅力の1つになります。普段の生活では出会えないような素晴らしいメンバーがいて、共通の興味を通じて仲良くなれるのは大きな価値だと思います。役に立つだけではなく、楽しくなければ結局は参加するのが億劫になってしまいます。

更に、運営する側のきめ細かな対応も必要です。メンバーからの問い合わせに対する迅速な回答や、情報提供のプラットフォームの整備、個々のメンバーに対するパーソナルな対応などは、専門のスタッフがいないとできません。適正人数を超えてしまい、既存の参加者の満足度が下がってしまうコミュニティも存在します。

コミュニティを作ることは簡単ですが、評価を高めてそれを継続していくことは、簡単ではありません。

実際、資産設計実践会を真似て始まった投資に関する類似のコミュニティもありましたが、その多くはいつしか消えていきました。

コミュニティ運営は、思った以上にハードルの高いものですが、素晴らしいメンバーとの出会いもあります。いくつかのコミュニティにも参加していますが、同じ目的や趣味嗜好を持つ人たちとの交流は、お金に代え難い価値を感じます。

私も主宰者として資産設計実践会の現状に満足して慢心することなく、更に高い満足度をコミュニティのメンバーに提供できるように、知恵を絞り続けていきます。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年2月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。