日本の衆参両議院をあわせた、本日現在の議員定数は710(今年の参議院議員選挙で3増えて713)です。
昨今話題になっている文書通信交通滞在費(以下「文通費」とする)は、国会議員一人に毎月100万円支給されます。
単純計算でいうと
議員数710人 × 100万円 × 12ヶ月 = 85億2,000万円
という年間予算となります。
使途不明で非課税な国会議員の文通費
さて、1年間で85億円以上かかっていることが推定される文通費は
- 何に使ってもよく
- 使途は公開されず
- 日割支給ではないため、議員である期間が1日であっても、当該月の文通費は1ヶ月分まるまる100万円支払われ
- 未使用分の文通費は国庫返納されない
という運営がなされています。さらに、非課税です。
今回当該予算が話題になったのは、「3.」の点を維新の新人議員が問題視したためですが、より運用として問題なのは、「1.」と「2.」です。
毎月、何に使ってもいい非課税のお金が、議員個人に100万円支払われるというのは、どう考えても異常です。しかも、しつこいようですがその原資は税金です。
もちろん、国会議員として自身の政治活動を国民に文書で伝えたり、視察のための諸経費が必要だったりすることは十分理解できます。私たち地方議会議員にも、そういう活動のための予算として政務活動費があり、佐倉市議会では年間48万円(コロナ禍期間は時限立法的に38万円)という金額をいただいています。月にならすと4万円なので国会議員とは二桁違いますが、とても重要な予算です。
私の場合、そのすべてを政策チラシの印刷費と折込の費用で使っておりますが、佐倉市全域に配布した場合、1回の配布で完全に使い切ります。
地方議会の現場では、すべての議会で使途の厳格な制限があり、佐倉市を含む多くの議会で領収書含め使途を完全公開しています。そうでなければ、市民への説明責任が果たせないからです。
国政政党への質問
このまま、文通費について政党間で何となく協議して、なんとなく折り合いがつかずうやむやにされてしまうのは、私たち国民にとっても、我が国の政治にも大きな損失です。
本件について、「たかだか85億程度の金は、国家予算としては微々たるものだ。もっと優先順位の高い議題はたくさんある」という議論もあります。
金額的インパクトでいえば確かにその通りですが、本件は為政者がなす政治に対する国民の納得感の問題が大きいと考えます。
私は、現代社会における政治体制を「自分が属す社会に対する納得感を得るための権力装置」であると考えています。
時の為政者がなす政治が「正しいかどうか」は歴史が長い時間をかけて検証していくものですが、「国民が納得できるかどうか」は、「納得できる運営」がなされているかどうかが国民の判断を左右します。
その意味で、現状の文通費の運営は、国民の一般常識からみてもとうてい納得できるものとは思えません。もし、「この運営は正しい」とする理屈があるのであれば、政治家や政党はその内容をしっかり説明しなければなりません。
そこで、現在国会に議席を有する9つの政党中、公式サイトに問い合わせフォーム、ないしメールアドレスが公開されている政党から、本件についてアンケートをとってみることにしました。国政政党から回答いただいた場合は、何らかの形で必ずアゴラで紹介させていただきます。
以下のフォームは、国政政党向けのアンケートをアゴラ読者向けにカスタマイズしたものです。
国政政党向けのフォームと内容はほとんど同じです(政党要件にかかる部分で、表現や取得情報に違いがあります)。上のフォームはすでに募集開始しておりますので、ふるってご応募ください。
内容によっては、アゴラで紹介させていただく可能性もございます。
本件、政党からの回答がございましたら続報します。