ワードプレス講座③:ワードプレスの魅力とメリット①

三輪 訓裕

Artur/iStock

前回「ワードプレスとホームページとブログの違い」では、ウェブサイトを持つメリットを説明しました。そして、ワードプレスとウェブサイトの違いをこの図のように説明しました。

ワードプレスはウェブサイトを構築する一つのツールになります。世界のウェブサイトの42%はワードプレスで構築されているそうです。

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それだけ、ワードプレスは全世界の人に利用される有名なツールになります。

なぜ、これほどまでに世界中の人が利用するツールになったのでしょうか?そして、多くの人が利用することにより、どのようなメリットがあるのでしょうか?それらを踏まえて、ワードプレスでウェブサイト・ブログを構築するメリットを説明します。

ワードプレスはなぜ広まったのか

ワードプレスが登場したのは2003年になります。2003年だとまだシンプルなウェブサイトが多く、名前を出して申し訳ないのですが、阿部寛さんのウェブサイトのようなデザインを多く見かけました。

当時はウェブサイトを持つ会社や個人もまだ少なく、また「情報を継続的に発信する」という概念もあまりなかったため、どの会社や個人も更新頻度が少なく一度作ったらそれで「完了」でした。

ワードプレスの一番大きなメリットは「コンテンツを自社・自分で更新できる」点にあります。当時はこのニーズがあまりなかったため、ワードプレスはそこまで求められていませんでした。

ウェブサイト構築ツールの変遷

当時はHTMLを知らなくてもウェブサイトが構築できる、IBMが開発・販売していた「ホームページ・ビルダー」が有名でした。

2008年の時点においても、「ホームページ作成に関する使用実態調査」全回答者の71.7%がホームページ・ビルダーを使用しており、私も一番最初はホームページ・ビルダーを使ってウェブサイトを構築したことを覚えています。

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その後、ウェブサイトを自分で更新できるアプリケーションとして「Movable Type」が登場し、こちらも流行りました。

当時のワードプレスとMovable Typeの違いは、「動的」か「静的」かです。

ワードプレスは、そのページにアクセスされるたびに、サーバーがプログラムを動かしてHTMLを出力します。Movable TypeはHTMLファイルを出力しておき、ユーザーはそのHTMLファイルを閲覧します。このような意味で、ワードプレスを動的、Movable Typeを静的といいます。

出力されたHTMLファイルが存在するため、Movable Typeの方がサーバーの負荷も少なく、表示も早いというメリットがあったのですが、一つ問題があり、HTMLファイルを出力しておくために「再構築」という作業を行う必要がありました。

「再構築」とは、既存HTMLファイルの更新のことをいいます。例えば、ウェブサイト上の右カラムに「新着記事」があった場合、再構築することで、新しい記事をHTMLファイルに表示させることが可能になります。

この再構築は、ページ数が少なければたいした時間はかかりませんが、ページ数が500ページ等になってくると非常に時間がかかります。新しいページを追加するたびに再構築が必要な上、ページ数が多くなると再構築が止まってしまうなど、煩わしい問題も出てきました。

記事をたくさん書いて自社や自分のウェブサイトをアピールしたいのに、記事を書けば書くほど管理に時間がかかり、融通の効かないシステムになってしまったのです。

私が知っているMovable Typeを使ったサイトでは、再構築に30分、しかも途中で失敗する場合があるものを見たことがあります。さすがにこれだけの時間がかかってしまうと、煩わしくてブログを書くのがつらくなってしまいます。

その点、ワードプレスでは再構築が不要なため、新規登録後すぐに記事の公開が可能です。これにより、Movable Typeに比べ多くのユーザーに受け入れられるようになりました。

そのような中、2003年頃から「ブログ」を使った情報発信が始まります。

ブログの正式名称は、「WebにLogする」という意味の「ウェブログ」です。ライブドアブログやアメーバブログ、Yahoo!ブログ(サービス廃止)やココログなどが2003年から2005年にかけて登場しました。これらのサービスは、アカウントを作成するだけで簡単にブログを開始できます。そのような中でスターブロガーも登場しました。

個人としてスターブロガーになれば、それは一つの成功といえます。ただ、そのスターブロガーになれるのは一握りの人たちだけです。残念ながら、多くの人はスターブロガーにはなれません。そういうこともあり、自分のウェブサイトでブログを書くというニーズはまだ少なかったと思います。

このような流れの中、ワードプレスが大きく注目されるようになったきっかけとして、「検索エンジン最適化(SEO)の登場」があります。SEOにも長い歴史があり、2000年代のSEOと現在のSEOは全く違うのですが、検索順位を上げるための評価項目として、2000年代後半から非常に重要となったものがあります。それはコンテンツです。それまではテクニカルな方法でSEOが行えていたのですが、2000年代後半からSEOはコンテンツ重視になりました。

ウェブサイトを利用して集客したい場合、SEOは重要。そして、そのSEOにはコンテンツが重要、つまりブログが非常に有効になりました。

そこで、白羽の矢が立ったのがワードプレスです。ワードプレスはもともと、ブログを作成するアプリケーションとして登場しました。一度ワードプレスでウェブサイトを作ってしまえば、ウェブ制作会社に依頼することなく、自分たちでブログを更新することが可能になるのです。

こうして、多くの個人・会社でワードプレスが利用されるようになっていきました。

(次回につづく)

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