戦争が起きようとしているときに投資の話は不謹慎だ、と怒られるかもしれませんが、怒涛のマネーは今日も明日も動きます。その流れの大局を見ることは大事だと思います。
世界情勢が不安定なこともあり、株価は下げてはいますが、投資マネーの世界では慌てふためいた感じにはなっていません。むしろ、3月以降にFRBがどの程度の勢いで利上げを進めるのか、インフレはどこまで進むのか、オミクロン明けで経済が正常化し始めた次のターゲットは何か、などを見定めようとする動きになっています。
もう一点、世界不和はウクライナ問題だけではなく、潜在的に中国や中東、アフガン、アフリカを含め、非常に多くの地域にわたることは重要です。今後も断続的出るであろうこれら地政学的な問題を含めて考えてみましょう。
私が目先、引き続き上昇するとみているのが不動産です。北米は住宅需要旺盛で市場がタイトですから年間1-2割程度の上昇がもうしばらく続くと思います。昨日発表になった12月度の住宅価格指標のケースシラーは前年同期比18.6%で11月の18.35%を超えて加速感がついていると解説されています。
なぜ値上がりするのか、といえば需要が建築資材や人件費の値上がり分を十分吸収できるほど先高観があるためです。ただ、一様に上がるわけではなく、今後、上がる物件と上昇が止まる物件に分かれるでしょう。パンデミックで郊外の戸建て住宅需要が高まったという一時的ブームは1-2年のうちに確実に鎮静化するとみています。むしろ、この2年間、あまり陽の目を見なかった利便性の高いコンドミニアムなどが再度盛り返してくるはずです。
今、郊外に家を買った人は交通渋滞で泣きが入っていると思います。車で動く人が異様に増え、ガソリン価格も高い中、ギブアップしたい人は確実に増えています。
あとは日本の不動産も場所を選べば買いたいところです。航空写真を見て思うのはこのマッチ箱のような住宅事情では世界を代表する経済大国とは思えないのです。何年たっても街並みが変わらないのも不思議です。日本では住宅事情の大変革がいつか起きると思っています。その期待という意味での不動産の流動性に期待しています。
次に金(ゴールド)です。これは専門家はほぼ異口同音に買いとなっています。インフレに強い面と利上げに弱い面があるのですが、今のインフレペースならば一定水準まで利上げされてもインフレ率が上回るので金価格は騰勢を強めるという見方です。もう一つは世界不和には圧倒的強みがある点です。
現在1900㌦を超えたところですが、2000㌦から史上最高値まで行くという見方は多く、私もそれに同意しています。但し、息の長い上昇にはならず、せいぜいあと3-4か月とかそんな感じではないかという気もします。
では値下がりするものは何でしょうか?株式のうち、新興企業の株価はハンマー打ちの状態になるとみています。ひどいところで高値から1/10、かなり頑張っている企業でも半分から1/3までは売られてもおかしくありません。理由は市場が株価のバリュエーションのウェイトを将来への期待度から足元の業績に移行しているからです。私が配当株と申し上げているのはそういう理由です。
よって株式投資をするならつまらないですが、業績が安定している銀行株は利上げメリットが取れますし比較的配当も高い銘柄が多く並びます。REITは引き続き安定していると思います。あとは今年は夏に向けて旅行が確実に回復するので航空、ホテルなどバケーション絡みも悪くないとみています。
飲食関連のビジネスは厳しさが続くと思います。物価高に人手不足、メニューの価格のアフォーダビリティのなさから客は逃げます。ニューヨークの狂乱ぶりは別格としても当地ですら、レストランで腹を満たすという目的ではもはや手軽にはいけません。誰がラーメンやハンバーガーで2000円、立ち食いのサンドウィッチで1500円も払えるのか、ということです。オフィス街に務める人たちは自衛に入るでしょう。これは日本も北米ほど極端ではないにしろ、同じ傾向が出ると思います。
目先の株価はウクライナショックがあったので大きく下げましたが、私の見方はさほど遠くない時期に落ち着くとみています。投資マネーはとても強欲です。そしてリターンという数字だけを追い、マネーは動きます。もしもウクライナが北米や日本から地政学的に遠い国の話となれば上がるでしょう。但し、ロシアの報復の内容次第ではそれに影響する業種は強く反応すると思います。
いずれにせよ、今のマネー相場はボラティリティが非常に高く、先が読めない時期なので普通は参入する時期ではありません。あと1-2か月すれば必ず方向性は見えてきます。また、日本もオミクロン明けになると期待していますので国内ビジネスが大きく動き出すでしょう。それを見据えた投資がよろしいかと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年2月24日の記事より転載させていただきました。