オンライン国会の実現に向け、国会による憲法解釈がまとまる

今国会4回目となる憲法審査会で、国会の「出席」に関する憲法56条1項の解釈について、緊急時にはオンラインによる出席も含まれるとの見解が取りまとめられました。今後、憲法審査会長から衆議院議長、議院運営委員長に報告され、オンライン国会の実現に向けて動き出すことになります。

衆院憲法審査会で取りまとめられた「出席」の憲法解釈 (画像をクリックするとPDFが開きます)

コロナ禍で明らかになった緊急時の立法機能の維持という課題を解決するため、これまでも繰り返し(2月10日のブログ2月17日のブログ)主張してきたことが、こうして形になったことは感慨深いです。

開会そのものが与野党の政治対立の材料になり、開かれたとしても「言いっぱなし」に終止しがちなこれまでの憲法審査会から、定例日に議論し、その結果をまとめることができる新たな憲法審査会に生まれ変わったと言っても過言ではありません。

これからも「対決より解決」「改革中道」の立ち位置で、国民のためになる政策を一つでも多く実現していきたいと思います。

衆議院憲法審査会発言要旨(令和4年3月3日)

国民民主党は2020年12月の「論点整理」でオンライン審議の問題を提起し、また、本通常国会の冒頭、オンライン国会のための衆議院規則改正を議院運営委員会で提案した。憲法審査会でも毎回「今日決めよう」と提案してきた。率先して取り組んできた自負がある。

このようにずっと主張してきたオンライン国会、実現の目処が立ってよかった。速やかに、審査会長から衆院議長、議運委員長に報告し、オンライン審議を可能とする規則改正や本会議決議につなげていく必要がある。また、地方議会の本会議でもオンライン審議を可能とする地方自治法の解釈を明らかにする通知を出すことも併せて求める。

今回は、言いっぱなしではなく、特定のテーマについて「議論して結論を得る」ことが憲法審査会でできたことは画期的だ。解釈の確定のようなことはできないとの意見もあったが、少なくとも院の自律権が広範に認められると解される憲法第4章「国会」について、憲法審査会としての考え方を示せたことは大きな意義がある。これからも憲法上の論点についての考え方を示していく積極的機能を果たしていくべき。

憲法裁判所が存在せず、司法も統治機構論で判断を避ける我が国において、憲法の一部の部分については、憲法審査会が準憲法裁判所的機能を果たしうるのではないか、問題提起しておきたい。その意味でも、審査会は毎週開催すべき。

今回問われたのは、いかなる事態の下においても、国会の機能を止めてはならず、そのための方策を事前に講じておくべきだということである。今回は解釈でオンライン出席が認められたが、解釈で認められない限界も見えた。つまり憲法改正が必要な外縁も明らかになったと言える。

次に議論が急がれるのは、任期満了時に正常な選挙ができないような事態に陥った場合に、任期の特例延長の規定を創設すべきとの論点である。その前提として、憲法54条2項の参議院の緊急集会は解散時だけでなく、任期満了時にも内閣は開催を求めることができるのか、その解釈を本審査会で明らかにすべきだと思う。そのための集中審議、あるいは、分科会の設置を求めたい。夏までに早急に結論を得たい。

いずれにせよ、憲法は飾っておくものではなく、魂を入れて活かすことが必要。その息吹を吹き込む役割を憲法審査会が果たすべきである。そのためにも毎週開催することを求めて発言を終える。


編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2022年3月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。