緊急時にオンラインで国会を開催できるだろうか。あるいは、オンラインで出席できるだろうか。コロナの蔓延と共に浮かび上がった課題について、衆議院の憲法審査会で議論されていた。
国会の開催要件は日本国憲法第56条第1項で「両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない」と定められている。この「出席」について、憲法審査会は「緊急時等には例外的にオンライン出席も含まれる」との解釈を決定し、近く衆議院議長に報告するという。
この解釈に反対したのが日本共産党。赤旗によると、「憲法の個々の条文の解釈を多数で確定させるなどというきわめて乱暴なやり方は断じて認められない」「憲法審査会があたかも憲法条文の解釈権を持つかのようにふるまうのは越権行為だ」そうだ。
コロナ禍で多くの会議がオンラインで実施されるようになった。国会の審議にも、技術的には、オンラインで出席できる。オンライン出席は障害を持つ国会議員や妊娠時期の女性議員にも役立つ。
共産党は、憲法第9条と同様に、第56条についても昭和時代のまま思考停止しているようだ。
憲法審査会に参考人として出席した高橋和之・東大名誉教授の意見を、赤旗は高橋名誉教授が「56条1項は憲法上の明確なルールであり、権力の乱用を防止するための規定だ」と主張したと紹介している。
「権力の乱用を防止するための規定」という主張は理解がむずかしい。国会が三分の一以上の出席で成立するというのでは、権力がぎりぎり三分の一を超える議員を集めて国会を開くこともできる。「三分の一以上の出席」は国会の開催を容易にするので「権力の乱用」を許容する規定ではないのだろうか。
しかし、共産党の反対も悪いことではない。この際、憲法改正を発議して欲しい。オンライン出席を明記し、「三分の一以上の出席」も、せめて「二分の一以上の出席」に改正して欲しい。
憲法の解釈を最終的に決めるのは国民だから、改正が実現すれば共産党も文句はないだろう。