結局、自分の国は自分たちで守るしかないのか?
ロシアがウクライナに侵攻して1週間以上が過ぎた。ここ数日は、ウクライナの街中での激しい爆撃の様子がテレビで流されている。欧米諸国の積極的な介入がないままに、多数の一般ウクライナ人の血が流されている。
自分の国が侵略されたときには、他国の応援を期待せず、自国民が守る覚悟が必要だという現実を直視せざるを得ない。
そして、相も変わらず、コメンテーターと称する人たちの気楽なコメントが発出されている。
欧米諸国から武器などの提供が行われているものの、戦っているのはウクライナの人々だ。ウクライナの軍人だけでなく、一般市民も多数殺されているのだ。
ロシアの銀行をSWIFTから締め出す経済制裁をしているというが、抜け道は用意されている。
どんな理由で一般のウクライナ国民の血が流されなければならないというのか?あるコメンテーターは「譲歩しないウクライナ大統領が悪い。早く降伏すれば、ウクライナ人の血は流されない。」と言っていたが、呆れるしかない。
ウクライナ人に「ロシア国民になれば、命は守られる」と言うつもりなのか?もし、日本が西にある大国から、北海道や沖縄に攻めてこられれば、血を流さないために、降伏して日本国民であることを捨てて他国の国民になれと言うのか?
しかし、この仮定は、もはや、夢想の世界ではなく、現実の問題として準備しておかねばならないことだ。
ロシアがこのウクライナ併合に成功すれば、次は台湾有事が起こるかもしれない。今回のように、米国が介入しなければ、一気に決着がつく可能性は高い。
逆に、もし、米国が戦争に加われば、戦闘機は沖縄の基地から飛び立つ。そうすれば、日本国内がミサイル攻撃に晒されるだろう。
ロシアは、まず、制空権を抑えようとした。同じ考えに立てば、沖縄や広島の基地がすぐに攻撃されてもおかしくない。そして、沖縄本島と南西諸島の空海の連絡が遮断されれば、私の大好きな南西諸島は孤立する。
野党は「非核3原則を守れ」と言っているが、もしもの時にどのように国を守ると言うのか?非武装中立論など非現実的な謳い文句を言っていた政党は消滅したが、相も変わらずノー天気な人たちだ。
日本、日本人というアイデンティティーを如何にして守るのか、もっと、真剣に、そして、現実的に議論してほしいものだ。
ロシアの非道は許されないのは言を俟たない。しかし、血も涙もない国が、いつどのように現れるのか、予測不能の状況であるのもまた現実なのだ。
そして、自分の国は自力で守るしかない。それがロシアのウクライナへの侵攻が教えてくれた最大の教訓だ。
編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2022年2月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。