ウクライナ危機で各国でもガソリンが高騰、トリガー条項凍結解除も焼け石に水?

ウクライナ情勢の緊迫やロシアへの厳しい制裁を背景に、ガソリン価格の急激な上昇が続いています。国会では原油価格の高騰対策としてガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除の議論に熱が帯びています。

自民・世耕氏、トリガー条項の凍結解除「地方財政に穴」 - 日本経済新聞
自民党の世耕弘成参院幹事長は6日のNHK番組で、原油価格の高騰対策としてガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除について「いくつかデメリットがある」と説いた。税収の一部が地方自治体に回るため「地方財政に穴をあける」と指摘した。解除時と再度の凍結時に価格が25円上下し、消費者が買い占めや買い控えに動く懸念...

元売向けの補助金では分配に大きなゆがみが発生すると思われますが、とにかく恒久的な減税につながる決定は回避したいようです。

玉木氏は与党に揺さぶりをかけています。

焼け石に水という見立ても。日本円も安くなっているので、100ルーブルはだいたい105円です。

ガソリンスタンドの店員さんに八つ当たりするのは慎んでほしいと思います。

https://twitter.com/civic_ferioek3/status/1500241494426681344

資源エネルギー庁の石油製品価格調査によると、2月28日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は、172円80銭でした。

2008年以来、13年5カ月ぶりの高値となりました。このときの要因は、需給のひっ迫、地政学的な要因、投機マネーと言われていました。

アメリカでも、2005年のハリケーン・カトリーナ以来の高騰を続けるガソリン価格と問題視されています。2008年の最高値も近いうちに超えるとの見方です。

Gas prices continue to surge with biggest jump since Hurricane Katrina | CNN Business
US gas prices jumped another 8 cents a gallon in Saturday’s reading, a bit slower than Friday’s 11-cent increase but still faster than any other spike in prices...

アメリカのエネルギー省によれば、12月の米国の石油輸入量に占めるロシアの石油の割合はたった2%ですが、石油は世界の商品市場で価格が決まるため、ロシアが世界の市場に与える影響はあらゆるところに及んでいるそうです。

今のところロシアの石油輸出は制裁を受けていませんが、ロシアの銀行との取引が制裁によって成立するかどうかが不透明なことや、購入した石油を積んでくれるタンカーがロシアの港に寄港するかどうかが不安視されることから、トレーダーはロシアの石油の購入に消極的になっているため、石油価格が上昇しているとの見方があります。

また、欧米を中心とした制裁の強化で、ロシアの物流も麻痺しています。EU各国の税関は、ロシア向け貨物に港湾を使用させず、同国のコンテナ取扱量の多くを占める海路が実質的に停止しています。

ロシア経済への影響は甚大ですが、ロシアの希少資源(ネオンなど)や穀物(小麦など)の輸出に支障が出るため、世界経済にも影響が出てきます。

物流まひ、ロシア痛撃 コンテナ海路の大半が欧州で遮断 - 日本経済新聞
欧米を中心とした制裁の強化で、ロシアの物流がまひ状態に陥りつつある。欧州連合(EU)の各国税関はロシア向け貨物に港湾を使用させず、同国のコンテナ取扱量の多くを占める海路が実質的に停止。希少資源や穀物の輸出に支障を来し、部品や製品の輸入も滞った。ロシア経済は事実上世界から遮断されつつある。モノの流れが止まることで世界経済...

新年度は、もともとあった構造的な要因である需給のひっ迫だけでなく、地政学的な要因も重なって、さまざまな物資の値上げが続きそうです。

(イメージ)the.epic.man/iStock