3月9日に投票が行われた韓国大統領選挙で、KBSは10日午前3時00分ごろに、保守系の最大野党候補・尹錫悦(ユン・ソクヨル)の当選が確実になったと報じた。選挙では李在明(イ・ジェミョン)とシーソーゲームが繰り広げられたが、立候補声明のあと優勢だった尹錫悦が夫人の経歴詐称などで人気が急落した時期があったが、体制の立て直しに成功した。
また、最終盤では中道野党「国民の党」の安哲秀(アン・チョルス)候補との候補者一本化に成功したが、これがかえって不利になって状況が緊迫化した。安候補がリベラル層ながら李在明候補のスキャンダルに嫌気がさしていた層の支持を集めていたのが、二者択一なら李在明に戻るという傾向があったからだ。
また、李在明候補はウクライナ紛争でゼレンスキー大統領を批判するなどして支持を失ったという見方もあったが、朝鮮半島での戦争が始まった場合に兵士となる若年層が対北強硬策をとる尹錫悦を嫌う流れもあった。
このために私も「野党統一で7対3になるかと思ったが、やはり6対4くらいの当選確率のまま」だと接戦を予想していたが、その通りになった。
年齢層では、40~50台では李在明、高齢層では尹錫悦、若年層では互角だった。
公約については、李在明が年間9万6000円を支給するベーシックインカムの導入や家賃の安い公営住宅の建設などを公約に掲げ、尹錫悦はそれをポピュリュスト=大衆迎合主義者だと批判し、成長による分配を訴えた。
対北朝鮮政策については、李在明が融和路線を踏襲するとし、人道支援を再開するとしたのに対して尹錫悦は経済支援についても非核化の進展次第とした。
対日関係については、李在明は「日本は敵性国家だ」「朝鮮半島ではなく侵略国家の日本が分断されるべきだった」「日本を追い越し、世界をリードする韓国をつくる」としていた。
尹錫悦は「歴史の真相は明確にしなければならないが、未来世代のために協力すべき」「シャトル外交の再開」を主張。
尹錫悦が勝っても国会は現与党の優位のままで解散の制度がないし、文在寅の支持率も政権末期としては高いままなので、一気に政策返還は期待薄だが、私は政権発足前にでも岸田首相が具体的な話し合いはしないということを前提に広島にでも招待して親交をふかめたらどうかと提案している。
なお、朴槿恵との関係については、朴槿恵を検察官として追い詰めた側だったので悪いままで、朴槿恵の妹は李在明陣営に加わっていた。