日本にスルーされた韓国大統領選

震災から11日で11年たちました。復興が進み、道路網は全長359キロの三陸道が昨年末に完成、主要インフラが整った今、今後は地元経済が自立復興にむけてどんな対応ができるかにかかります。が、被災地の高齢化は進み、2-4割も人口減を記録する地域もある中、別の意味での厳しさが増すのかもしれません。望みはコロナが収まり、観光客が戻ってくること、そして着実に復興しつつある地域に華を添えてあげることなのでしょう。応援しています。

では今週のつぶやきをお送りします。

市場は乱気流の中

今年初めの私の10大予想で今年の株価の予想はできないと申し上げました。理由は大きなファクターがありすぎて読めないからです。つまり乱高下はある程度想定していました。ウクライナ問題は想定していませんでしたが、この1週間だけの市場の動きを見ても表層だけの上下運動、つまり、腰が入った買いが入っていないのが見て取れます。例えば木曜日の東京市場は日経平均が1000円ほど値上がりし、ほとんどの銘柄が上昇したのですが、目立って大きく上げた業種や銘柄は少なく、押しなべて皆、仲良く手をつないで2-3%上げていました。それもあり、翌金曜日は一時700円以上も反落するのです。

これは北米市場も同じで疑心暗鬼相場になっています。FRBも厳しい判断となりそうです。来週のFOMCで利上げはするけれどスタグフレーションによる景気後退の可能性について議論されるかもしれません。雇用は確かによさげですが、賃金上昇はほぼ止まりつつあるのに、インフレ率が高く、アメリカ人はどんどん貧乏になっています。今は資産の取り崩しで賄える余力がありますが、必ず、どこかで壁にぶつかります。

では資源や穀物の異様な価格高騰は止められるのか、といえば否です。石油は増産期待と言いますが、OPECプラスとはロシアがそこにいるという意味です。増産に同意するのでしょうか?イランの核合意交渉は止まりました。理由は表明されませんでした。ロシアが後ろで操った可能性はあります。こんなニュースに市場は右往左往しています。その上、どう見ても振り回しようがない鉱物系と穀物系の価格高騰は異次元のレベルに向かう可能性がないとも言い切れません。

韓国大統領選

日本は本当に韓国に興味がないようです。大統領選の日本のメディアの扱いは淡泊だったと思います。皆さんがスルーするのは結構ですが、私は嫌な予感がしています。まず、今回の大統領選は国を完全に二分しました。赤と青。選挙結果は48.56%:47.83%とわずか0.73%の差となる伯仲した戦いは尹氏にとって決してたやすいスタートではないかもしれません。そしてもう一点、彼は自分で動く男です。取り巻きの言うことは聞かない、焼き肉パワー全開の独走型の性格です。

Marco_Piunti/iStock

何が怖いか、それは北朝鮮との関係です。尹氏はTHAADも増やす、米韓関係重視の中、文大統領のような調整型でリベラルな優しい動きではありません。金正恩氏のライバル心をたきつけることもあり得ます。北朝鮮はICBMの発射実験を4月にも行うかもしれません。私はウクライナ問題は朝鮮半島問題に似ている、と述べました。半島は戦争を引き起こしやすい不安定さが付きまといます。クリミア半島と朝鮮半島はその点で実に似た背景を持ち合わせています。

私はある雑誌に「なぜ戦争をするのか」という寄稿をしたところです。理由は単純です。人は今も昔も領土、食糧、人、マネーといった支配を求め、熱くなるのです。そしてどれだけ戦禍で苦しんでも懲りないのです。ビジネスはディールが失敗すれば抑制力があるので終わります。恋愛は振られれば終わりですが、ストーカーする輩もいます。もっともたちが悪いのは外交で隣人が嫌ならば怨嗟がついて回ります。そして、恨み妬みやっかみが多いのが東アジアの特性です。これが今回の大統領選で一番懸念すべきところです。岸田氏が尹氏と外交再開するなら見るべき点はそこだと考えています。

ユーチューバーの次は何だろう?

私は2世代ぐらい古い稼がないブロガーです。かつてアフリエートで稼ぐ方法がずいぶん話題になっていたのはよく覚えています。その後、SNSが席巻し、フェイスブックからインスタ、ティックトックに移っているのは年代の反映ともいえ、私が「ジャニーズ現象」と揶揄する世代ごとの層が形成されました。その中でユーチューバーに光が当たり始めたのが2013年頃からでしょうか?これは個人で動画アップをするケースとMCN(マルチチャンネルネットワーク)の仕組みを利用したものがあり、有名人の異次元数のアクセスはMCNを介しています。こうなるとアクセス数が全てなのでヒカルのようにやらせをやりました、ということも起きてしまいます。

ユーチューブは23億人に視聴されている現代のインフラともいえますが、莫大なアクセスを生み出すMCNはさほど稼げていないのも実情で代表的なUUUMの株価はかつて5000円の価値があると言われながら今は1000円以下をさまよっています。MCNが落ちぶれれば人気ユーチューバーも落ちるし、MCNが稼げなければ登録する人を切るだけの話です。MCNによる大量契約解除が聞こえてくるのはそんな背景です。つまり、人気ユーチューバーも足切りの時代ともいえます。

そもそもユーチューバーは容易く稼げるというイメージからスタートしましたが、イージーマネーなど世の中に存在しません。となればブロガーがどんどん脱落したようにユーチューバーも受難の時代に入っていくともいえます。基本は視聴者の動画に対する飽きが来ている中、ユーチューブを所有するグーグルが支払い契約を引き締め、クオリティコントロールを模索していることもあるのでしょう。では今後は何にとって代わるのでしょうか?ないものを想像するのは難しいのですが、メタバースが介在するビジネスなのかもしれません。ブロガー、ユーチューバーからは三次元的ジャンプになるのかもしれません。おじさんはついて行けません。

後記
カナダがコロナ制限を大きく撤廃しつつあります。ここBC州も今日からマスクなし。ワクチンパスポートも4月からは要らなくなります。航空機など一部はまだ制限が残りますが、解放されつつあります。その点ではコロナの感染予防を頑張り過ぎた東アジアが一番回復が遅れるという皮肉が起きているのかもしれません。それでも死者数が欧米に比べて圧倒的に少ない対応ができた日本は立派です。きっともう少しの辛抱でサクラが咲くのでしょう。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2022年3月12日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。