なぜ新幹線のグランクラスはホームの端にあるのか?

ワイン仲間との旅行で富山に来ています。

富山までは電車で行きました。JR東日本や西日本の新幹線には、グリーン車よりも高価格のグランクラスという車両があります。飛行機でいえば、ファーストクラスのような位置付けです。

winhorse/iStock

北陸新幹線にはなかなか乗る機会がないので、行きの新幹線は、グランクラスに乗ってみました。東京から富山までだと、グリーン車より更に8,000円ほど高くなります。

車中では、お弁当とドリンクサービスがありました。

北陸ということで日本酒は黒龍の大吟醸酒吟のとびらです。高級そうに見えますが、市販価格400円のリーズナブルな日本酒でした。これに駅弁が付いてきます(画像をブログで見る)。革張りのシートは快適ですが、これだけのサービスでプラス8,000円。

残念ながら、「価格>価値」だと感じました。

以前利用した時も思ったのですが、JRのグランクラスを企画した人たちは、利用する人のニーズをよくわかっていないようです。

この手のサービスのターゲットとなる富裕層向けのビジネスで大切な事は、気分を良くさせることです。

そもそも、グランクラスは車両の、最先頭の12号車です。東京駅ではエスカレーターで上がったホームの一番端っこまで、歩かなければなりません。

また、目的地の富山駅のホームでも、階段までの距離があって、改札を出るまでに時間がかかりました。

なぜ、わざわざ一番遠くの車両をグランクラスにしたのか?その意図がよくわかりません。

見た目豪華なお弁当や、日本酒も良いサービスです。しかし、乗り物で移動する人が一番快適だと思うのは、利便性です。

東海道新幹線にはグランクラスはありませんが、グリーン車は車両の中央に配置されています。

せっかく高品質のサービスで勝負しようと思うなら、利用者が何を求めているかをしっかり押さえて提供すれば良いのにと思いました。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年3月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。