「本当に自由に使える人生の時間」日本人はたったの○年間

黒坂 岳央

黒坂岳央(くろさか たけを)です。

YouTuberのナオキマン氏が動画の中で「実際に使える人生の自由時間」について考察している。それによると、我々日本人にとって「何にも縛られない、何もしない真に自由な時間」はたったの2年間というのだ。

これはほとんどの人にとっては、受け入れがたき指摘ではないだろうか。だが、その考察はまったくの当てずっぽうというわけではなく、論理的な考察に基づくものである。

▲同氏のYouTube動画。興味深い考察

人生の自由時間は「たったの2年間」?

それでは具体的に、自由時間の内訳を見ていく。日本人の平均寿命は84年、人生最後の10年間は寝たきりや体力の衰えによる制限下に置かれると仮定し、実質的な健康寿命を加味すると-10年間という前提で考察する。

  • 睡眠:8時間/日×84年間=242.36時間 (約27年間)
  • 教育:幼稚園〜大学=33.7時間 (約4年間)
  • 仕事:9時間/日×245日/年×40年=88.2時間 (約10年間)
  • 通勤通学:平均片道40分=13.066時間 (約1.5年間)
  • 食事:1時間半/日=45.99時間 (約5.5年間)
  • 家事:2時間/日=61.32時間 (約7年間)
  • 余暇:2.5時間/日=76.65時間 (約8.5年間)
  • スマホ:3時間/日=65.7時間 (約7.5年間)
  • トイレ:約1年間
  • 自由時間:2年間

余暇時間まで含めると、10年間を超えてしまうが基本的に余暇時間とは、健全な社会生活を営む上での「必要な休息」と考えるなら「真に自由な時間」に含めてはいけないと感じた。また、上記の「仕事」には、残業や飲み会などは含まれていないので、頻繁にそれがある社会人はさらに時間が減る。ちなみに複数人の子供の育児を含めるとさらに余暇時間は減る。

こうして結果を俯瞰してみると、あながち完全な的はずれな計算というわけでもないはずだ。「人生のスクリーンタイム」があるとすれば、驚愕の事実に腰を抜かしてしまう人も出るだろう。

限られた自由時間を有意義に使えているか?

世の中は「自由がない!」を嘆く人で溢れている。それが2年間だと突きつけられれば更にそう思うだろう。

確かに現代人は忙しくなった。「現代人が一日で触れる情報量は江戸時代の一年分に相当する」という話もあるくらいで、日々大量の情報を浴びている。世の中の変化も速く、常に意思決定に迫られている。体は肉体労働から開放されても、我々の脳は常にその咀嚼に稼働して忙しくなったのだ。

YinYang/iStock

だが、実際のところ現代人は「自由がない」ということに困っているのではなく、「自由時間を有意義にどうすごすか?」で困っている人も多いように思える。つまり、人生をかけてやりたいことを見つけることができず、結果として自由時間を持て余しているケースもあると思うのだ。それ故にいざ自由時間を与えられても、持て余してしまい漫然と過ごしてしまい後から罪悪感を覚える人もいるだろう。

それは電車に乗っている人を見ればわかる。電車の移動中は時間的拘束を受けているようで、両手や脳は自由に開放されている。それでいて、かなり多くの人は「ヒマつぶし」と見られる行動を取る。つまり、移動時間をムダなものと捨ててしまっているということだ。人がどのように行動するかは自由だが、有意義に過ごす方が充実した時間になるのではないだろうか。

筆者は東京や大阪に住んでいる頃、電車の移動中は猛烈に学術書や英語学習本、ビジネス書をひたすら読み漁っていた。英検1級の合格に必要な英単語のほとんどは、電車の移動時間中で覚えたという感覚がある。

限られた時間が少ない場合でも、ムダにせず有意義に過ごす方が良いと思うのだ。どう過ごすか?はひとりひとりの意思決定にかかっている。

時間は有限である。当たり前で周知の事実だが、問題はそれを「実感を伴って理解できているか」だろう。今の若さが永遠に続き、時間さえあれば自由に行動できる、などと思うべきではない。加齢と共に体力や気力は衰え、活動可能時間は着実に減少していく。

今この時の瞬間にしかできないことは多い。ムダな時間を過ごさず、「2年間」を悔いの残らないように使えるかは、我々一人一人の双肩に託されている。

 

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ビジネスジャーナリスト
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子 肥後庵」を運営。経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。本業の傍ら、ビジネスジャーナリストとしても情報発信中。