ゼレンスキー大統領の各国での演説が大きな話題と波紋を生んでいます。
最初に行ったイギリス議会では、シェイクスピアやチャーチルを引用し、イギリスのアッパークラスのツボを見事に突いたようです。
ウクライナのゼレンスキー大統領は8日、英議会でオンラインを通して演説し、英国のチャーチル首相が1940年にナチスドイツとの戦いを念頭に行った議会演説になぞらえて「われわれは決して降伏せず、決して敗北しない」と語った。 pic.twitter.com/zfMQRVlCyJ
— ロイター (@ReutersJapan) March 9, 2022
アメリカの連邦議会でも、スタンディングオベーションで迎えられました。ロシアの侵略をパールハーバー(真珠湾攻撃)や9.11と結びつけ、アメリカ国民の涙腺をおおいに刺激しましたが、日本では冷めてしまう人も多かったようです。
ナザレンコ・アンドリーさんもこの点に関しては、不適切で残念だったと述べています。
もちろん、理解を示す声もあります。
ゼレンスキーが米国議会で真珠湾に言及したことが脊髄反射を生んでいるようだが、演説を聞くべきだろう。二回の米国本土への航空機攻撃を参照して、毎日空爆されるイメージ喚起を求めているだけ。
Ukrainian President Zelensky Addresses Congress https://t.co/1CcGtDMRgQ @YouTubeより
— 篠田英朗 Hideaki SHINODA (@ShinodaHideaki) March 17, 2022
ゼレンスキーが演説で真珠湾を持ち出したのは当然では。なによりこの戦争ではアメリカの支援を如何に引き出すかが大事なのだから。別に日本はウクライナに対戦車ミサイルを供与してくれるわけではない。
— JSF (@rockfish31) March 16, 2022
そして、バイデン大統領はこの後、プーチン大統領を「戦争犯罪人(war criminal)」と呼ぶに至りました。
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ドイツ連邦議会でも、ビデオ演説をしています。
ゼレンスキー大統領は、ドイツの支援に謝意を示しましたが、ドイツはロシアとの経済関係を深めて戦費を稼がせた上、ウクライナのNATO加盟などの要望をはぐらかし、ウクライナと欧州の間に「新たな壁」をつくることに加担してきたと批判を展開しました。
英米の議会の友好的な(中身のない)演説に比べて、ドイツ議会の演説はすごい。ドイツがプーチンに戦費を与え、ウクライナを侵略しても制裁しないと思わせた。その通りだね。https://t.co/91WSBhtw6G
— 池田信夫 (@ikedanob) March 17, 2022
ドイツ人は引きましたが、欧州人には突き刺さったようです。
ゼレンスキー大統領、ドイツの演説でドイツの金儲け主義を厳しく批判していたが、よく言ったと感じた欧州人だらけだろう
日本人は知らないが、ドイツはロシアからの安いエネルギーで生産コストを抑えて他の国に製品を売りまくり、ギリシャの通貨危機で得し、EUで威張り、欧州ではかなり嫌われている
— めいろま「世界のニュースを日本人は何も知らない3」発売中 (@May_Roma) March 17, 2022
パイプラインが切れたら生きていけないのに、原子力発電所を止めたドイツの自殺的なエネルギー政策が、プーチンに侵略の動機になったことは明らかです。こう言われてもしかたありません。
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カナダでも熱狂的に迎えられました。
カナダ議会でゼレンスキー大統領が、さらなる支援を求めるビデオ演説。
終了後、3分間にわたってスタンディングオベーションが止まなかった。これが明日、米議会でも開かれる。どれだけ米政治を動かせるか。 pic.twitter.com/04opKLoqhC— 高野遼 / Ryo Takano (@takano_r) March 15, 2022
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ゼレンスキー大統領の攻めた演説は、賛否両論含め、人々を引き込む大きな力があります。日本も国際社会の中で主体性を発揮できるでしょうか。それとも、今後も国際関係のうねりに翻弄されつづけるのでしょうか。
ゼレンスキー大統領の国会の演説の打診に、スクリーン等の用意がないと答えを保留した日本の国会。英やカナダや欧州議会や、昨日は米国議会でも演説しているというのに、何という感度の悪さ。相手はパンティの中に指を入れてカギの字にしてホジくり回しているというのに、憤怒の爪ぐらい立てなさいよ
— 村西とおる (@Muranishi_Toru) March 17, 2022
日本にはますます戦略的な思考・行動が必要になってきます。