ウクライナから輸入していたひまわりオイルの不足でスペイン生産業者の危機

スペイン市場からひまわりオイルが姿を消した

スペイン市場からひまわりオイルがほぼ姿を消している。スペインで消費するひまわりオイルの70%がウクライナからの輸入に頼っていたからである。ウクライナ紛争の影響で同国からの輸入ができない状態にある。

スペインでのひまわりオイルの一般家庭での消費量は19万3200トン、商業用では18万6800トンが消費されている。(3月13日付「エル・ペリオディコ」から引用)。

ひまわりオイルを使ってソース、ビスケット、缶詰の類を生産している業者は深刻な事態にある。それを商品別に細かく見るとマヨネーズ、ケチャップ、トマトソース、パン、ケーキ、チョコレート詰お菓子、多種魚類の缶詰など広範囲にひまわりオイルが使用されている。

スペインはオリーブオイルの生産では世界でトップの位置にあるが、オリーブオイルは味が濃厚だということでひまわりオイルを好む消費者が多くいる。だから缶詰類だとオリーブオイル漬けとひまわりオイル漬けの両方が生産されている。この比率は一般に前者が40%、後者が60%となっている。

ひまわりオイルの在庫は2週間から4週間分しかない

不足しているひまわりオイルについて言えば、前述した商品の生産業者では2週間から4週間の在庫分しかないというのが事情だ。ウクライナ紛争が長引く可能性が高い中では、4週間分以上の在庫を持っている生産業者はスペインにはいないとされている。というこでそれ以後は代替オイルの使用が迫られている。最悪の場合は生産を停止せねばならない状況にある。

同様にレストランでも揚げ物をメニューから最悪の場合外さねばならなくなる。

その上、現在スペインは全ての価格が値上がりしており、今年に入ってインフレは既に7%を超えている。これは1980年代の高騰インフレ以後30年振りだとしている。この二重苦に苦しまされているのがひまわりオイルが原材料に必要な生産業者だ。

また一般消費者にとってもひまわりオイルが手び入らなくなっている。小売業者の販売の棚から姿を消しているか、あるいは販売されていても購入量に制限が設けられている。筆者もつい先日あるスーパーに行ったが、そこでは最高5リットルまで購入できるとされていた。

ひまわりオイルの代替オイル

またウクライナ以外に供給先として可能性があるのはアルゼンチン、モルダビア、ブルガリア、ブラジルとされているが、どこもウクライナに比較して生産量が低い。しかもブルガリア以外の3か国はEUの品質認可が必要となる。

ということで代替オイルの早急なる選択が迫られている。その候補に挙がっているオイルは菜種、パルマ、大豆、再搾オリーブオイルの4つだ。この中で一番有力なのは再搾オリーブオイルだとされている。このオイルはひまわりオイルの風味に比較的近いものをもっているとされている。このオイルはオリーブオイルを抽出する際に発生する搾りかすから再度抽出されたものである。

スペインで生産されている再搾オリーブオイルの83%が現在輸出に宛てられている。市場としては米国、英国、アラブ首長国連邦、ポルトガル、イタリアといった国だ。

しかし、問題は現状では再搾オリーブオイルは4万2000トン程度しか供給できない状態にある。ひまわりオイルのスペインでの消費量は38万トン余りであるから再搾オリーブオイルでは殆ど問題の解決にはならないというのが事情としてある。3月14日付「エル・インデペンディエンテ」から引用。

長期戦になりそうなウクライナ危機で予期せぬとばっちりを受けているのがスペインのひまわりオイルが必要な生産業者だ。