ギリシャ神話の挿話になぞらえて名付けられた『パリスの審判』 。ワイン好きな人たちの間ではよく知られている事件です。
これは、1976年に当時まだ格下と見られていたカリフォルニアワインが、ブラインドテイスティングでフランスの高級ワイン(ボルドーの赤、ブルゴーニュの白)より高い評価を得たという業界が騒然となった出来事です。
その事件を再現するということで、ワイン好き5人が会員制のワインバーに集まりました。
3種類のボルドー赤ワインと3種類のカリフォルニア赤ワイン、さらにもう一本の産地不明の赤ワインを追加して、先入観無しに7本を飲み比べました。
私は産地や銘柄などに関係なく、単に好きか好きではないかでワインを飲んでいます。飲むのが好きなだけの「ノムリエ」です。この日の7本のワインの中で、好みだったのは、カリフォルニアが2本、ボルドーが1本でした。
しかし、スペシャルゲストにお招きした世界的に有名なソムリエさんは違いました。
何と7本目の出所不明ワインがどれかを選び出し、その産地をブラインドでピタリと当てたのです。それは、日本のワインでした。
更に、それ以外のワインもブラインドで銘柄まで絞り込んでいくのです。ボルドーの5大シャトーの違いまで分析するのにはびっくりしました。
なぜ、わかったのか?そのアプローチ方法はロジカルで、とても興味深いものでした。
私のような「ノムリエ」は右脳だけでワインを味わい、「ソムリエ」は右脳だけではなく左脳を組み合わせて、さらに深くワインを理解し、楽しんでいる。
ワインは左脳と右脳の両方を刺激する飲み物だとすれば、右脳だけしか使わないのは勿体ない。「ノムリエ」は、何だかとても損をしているような気になってきました。
ワインの世界でも超一流の人に出会い刺激を受けることで、新しい世界が見えてきました。これをきっかけに、少し左脳も使えるように、ワインとの付き合い方を変えてみようと思います。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2022年3月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。