一時は橋下徹さんが世の中の批判を一身に浴びていましたが、最近はおとなしくなり、その代わりにロシアの立場を代弁する人がたくさん出てきました。中でも大前研一さんが自分でロシア脳と名乗ったのはおもしろい。
【政治🏛 】大前研一「マスコミが報道しない”ゼレンスキー大統領の素顔”」
「ロシア脳」から読み解くウクライナ戦争勃発の原因について、解説します――。#ウクライナ #プレジデントオンライン https://t.co/BWkaT4pesK
— PRESIDENT Online / プレジデントオンライン (@Pre_Online) April 15, 2022
ところが、この記事は事実誤認だらけ。正しい部分をさがすのがむずかしいほどで、かつて大前ファンだったウクライナ研究者の岡部芳彦さんも怒っています。
「人気を失ったゼレンスキーは、EU加盟、NATO加盟を掲げ、憲法にまで明記した」→明記されたのは2019年2月、ポロシェンコ政権下です。全くの間違いです。 https://t.co/nZkn0hMLhK pic.twitter.com/degg4G6ZgR
— 岡部芳彦OKABE YOSHIHIKO (@BaronYO) April 14, 2022
大前さんのように「この戦争をやりたがっているのはアメリカの軍産複合体だ」という話は、ロシア脳の人々によくある陰謀論です。
この戦いはウクライナが舞台のロシア🆚米国の戦争である。ウクライナは戦場で疲弊し、ロシアは思惑通りに行かず苦戦している。両国はNATO問題などで停戦可能だが米国は戦争が長引くほど軍産複合体が利益を得て株価が上がり、プーチンの首を取れる確率も増す。誰かが米国の首に鈴をつけねば泥沼化する。
— 鳩山友紀夫(由紀夫)Yukio Hatoyama (@hatoyamayukio) April 14, 2022
鳩山さんは、開戦前にアメリカのブリンケン国務長官がプーチン大統領に戦争の回避を呼びかけ、中国にまで仲介を依頼していたことを知らないんでしょうか。
「誰かが米国の首に鈴をつけねば泥沼化する。」この世代のみなさん、本当にアメリカがお好きで…。世界で起こるあらゆる紛争は、アメリカが行っており、アメリカが参戦していなければ、それは「代理戦争」である。だから、アメリカが「戦争」をやめれば平和になる?ふう。 https://t.co/XGOF3r4owJ
— Yuichi Hosoya 細谷雄一 (@Yuichi_Hosoya) April 14, 2022
安全保障の専門家(と自称する人)まで「史上最も卑怯な代理戦争」などと言っていますが、新聞も読んでないんでしょうか。
もうロシア軍のオデーサ揚陸は無いですよ。巡洋艦モスクワが撃沈されました。ロシア艦隊は怖くて沿岸には近付けなくなりました。 https://t.co/T98QlMgOjW
— JSF (@rockfish31) April 14, 2022
確かにアメリカ側の情報に依存する「アメリカ脳」はよくないが、それを批判する「ロシア脳」の人々の脳には、明らかな事実も見えない(あるいは見ようとしない)深刻な欠陥があるような気がします。
ただロシア脳の人が共通にいう「NATOの東方拡大」はむずかしい問題で、専門家の中にも議論のあるところです。これについては、アゴラにも書きましたが、みなさんからも意見を投稿してください。