ついに始まった不妊治療の保険適用、しかしそこには落とし穴が

助成金の一部継続と混合診療の解禁を

こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。

今日は決算委員会に差し替えで出席し、厚労省管轄の分野について議論をさせていただきました。

・不妊治療の保険適用における課題
・母子支援施設の改善
・産科医療補償制度の欠落

の3テーマ(マイナ保険証へは時間切れでたどり着かず…)。

質疑動画全編はこちら。

今日のブログでは不妊治療の課題について簡単にまとめておきます。

kuppa_rock/iStock(イメージ 編集部)

菅内閣の遺産・功績とも言える、不妊治療分野に対する保険適用が4月からスタートしました。これは不妊治療の門戸を広げるという点で高く評価できることです。

ただ一方で、保険診療の点数設定等により、以下の課題が発生することになりました。

・自由診療から保険診療の点数範囲内の治療にすることで、治療レベルが落ちる。あるいは患者が望む治療が行えない
・患者が望む治療を継続しようとすれば、保険診療の適用外(自由診療)となり、自由診療に対する助成金の多くは終了することから、適用以前に行っていた治療を継続するだけなのに患者負担は大幅に増加する

保険適用になるのは安全性や効果が確実に確認されたものだけなので、大手と呼ばれる実績を持つクリニックが行っている先進的な治療の多くは保険適用の対象外となっています。

厚労省はこの点を「先進医療」という仕組みを使って対応し、安全性と効果が認められたものから保険適用していくという立場ですが、不妊治療の世界は日進月歩、さらに妊娠を希望する方に残された時間は有限です。

果たして厚労省が考えるスピード感が現実に則ったものかというと、極めて疑問が大きいと言わざるを得ません。

そこで、保険適用になったことで生じた欠陥を補うアプローチが2つ考えられます(どちらも行うと良い)。

一つは、自由診療に対する助成金の一部継続です。自治体によっては、これを残しているところもあります。「先進医療」の枠組みで認められ保険適用になるまでの間、多大な自己負担が生じるわけですから、そこは引き続き支援する。

もう一つは、不妊治療における「混合診療」の解禁です。我が国は混合診療に極めて慎重であり、保険適用の診療と自由診療を組み合わせることができず、一部でも自由診療を取り入れたければすべてが保険適用外になる仕組みになっています。

まさに自由診療で自分にあった治療をカスタマイズしていくニーズの高い不妊治療においては、この混合診療の解禁がもっとも望まれる分野であり、またそうするべきでもあります。

いずれの提案も厚労省は後ろ向きではありましたが、本件は引き続き粘り強く働きかけていきます。

同時に、怪我や病気ではない不妊治療が保険適用となった以上、出産分野についても保険適用が視野に入ってくるのではないでしょうか。

本件についても当事者・専門家・有識者の意見をヒアリングしながら、党内で議論を進めていきたいと考えています。

それでは、また明日。


編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年4月25日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。