不正が起きやすいその仕組みとは
こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
われわれ国会議員には「国会議員パス」「JRパス」などと呼ばれる、新幹線(JR線)の乗り放題チケットが支給されることは以前にも本ブログで取り上げました。
新幹線のグリーン券まで自己負担なく取得できる国会パス。公私の区別がつかない利用については以前からも問題視されてきましたが、それとは次元の違う不祥事が今回は発覚しました。
「昔が忘れられない」元衆院・参院議員の男を逮捕 現職になりすまし新幹線のグリーン券をだまし取ったか
https://news.yahoo.co.jp/articles/9dc3de49376dca43634710d094840f825c2142bf
自民党の現職議員の名前勝手に使う…逮捕の元参院議員「今回が初めてではない」新幹線グリーン券詐取の疑い
https://news.yahoo.co.jp/articles/70552927c6649c4b93e1a71e86c8bb537ba34a9a
なんと衆議院4期、参議院2期を務めた立憲民主党の議員OBが、現職議員を語って(しかもなぜか自民党議員の名前を…)グリーン券を不正に取得していたというのだから、開いた口が塞がらないとはこのことです。
立憲民主党もOBがこんなことをやらかして災難だと思いますが、たまたまJR側のミス→議員事務所に連絡という流れで発覚した経緯から、常習犯でありこれまでの不正使用もかなりの回数に及んでいた可能性があります。
真相解明に向けて、山下容疑者には全面的な協力をしていただきたいと願うばかりです。
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なぜこのような不正がまかり通ってきたかといえば、シンプルにアナログすぎる仕組みに原因の一端があります。
各議員にはこういうペラペラのカードが一枚渡されてまして。
発見の際にはJRの窓口にいってペラペラのカードを見せつつ、こちらの申請書を手書きで書いて提出します。
特に身分証確認などはなく、国会議員パス・JRパスもちらっと見せるだけでOKなので、やろうと思えば不正行為・なりすまし行為は比較的用意ではないかと考えられます。
また紙の登録によるアナログな対応なので、後々にはJR側で(おそらく)集計はされているんでしょうけども、例えば
・19時で予約して事前にチケットを発券する→他人にあげる
・「19時の便は逃してしまった」ということにして、19時以降また次の便のチケットを窓口で買う
などとして増殖させることも理論的には十分に可能です。そこまでする人はいないと信じたいところですが…。
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こうした不正行為を再発防止するためには、以前にも公私混同使用が問題になった時にすでに提起しているように、ICカード化して使用履歴を記録→公開するのがベストです。
技術的には用意であり、公開した方が議員側も痛くもない腹を探られなくて良いでしょう。
政治活動にはお金がかかりますから、JRパスの存在にはとても助けられていることが事実です。
一方で、文書通信交通滞在費の使用用途などがはっきりしない・用途もまったく公開されないという現状では、「交通費の二重取り」などと批判が出るのも当然であり、議員全体の待遇は普段の見直しを図っていく必要があります。
情けない事件がきっかけではありますが、これを契機にJRパスの適正化・不正の再発防止策が講じられるように提案をし、文書通信交通滞在費など議員待遇についても議論をリードしてまいります。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年5月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。