経団連に学ぶ業界団体の運営方法

業界活動のために経団連から学ぼう

政策を実現するには、より多くの人がその政策を実現したいと思っていることが必要です。さらに多くの人が賛意をしめしていることが外からも分かりやすいことが重要です。官僚の人たちが政策を進めるかどうかを判断する上で重要な情報となるからです。

経団連会館HPより

多くの人が賛意を示していることを示すために用いられる組織が業界団体です。業界団体とは同じような利害を共有する仲間や会社が同じ方向を向いて、政治に意見を伝えるための組織です。業界団体の発案で政策が変わる場面を千正組としても多く目撃してきています。より多くの人が仲間集め・意見表示のツールとして、業界団体を活用してくれればよいなと思っています。

一方で業界団体にこれまで関わったことがない人にとっては、新しく業界団体をつくったり、既存の業界団体と一緒に政府に提案をしたりすることの敷居はかなり高いように感じています。どうやって組織を運営していけばよいのか、どうやって政策に自分たちの団体の意見を反映していけばよいのか、迷っている方も多いのではないでしょうか。

新しいことを始める時には、まず前例を丁寧に調べてみることが大事です。今回は、業界団体初心者の方のために、既に大きく組織化され、国の政策にも大きなインパクトを持っている経団連(日本経済団体連合会)の組織構造や活動内容を掘り下げてご紹介していきます。

政策への経団連の影響力

政策のたたき台を作るのは、大臣をトップとする官僚機構ですが、それを最終化し、みんなで議論したというお墨付きを与えるのは、審議会などの政府会議です。

今回の記事のために様々な政府会議の委員を調べてみましたが、調べてみればみるほど、いかに経団連が様々な政策課題に関する会議に代表者を出席させることに成功しているかということに驚きます。

日本の基本政策や成長戦略を定める日本を代表する政府会議であり、官邸主導の舞台装置でもある経済財政諮問会議や新しい資本主義実現会議には経団連会長の十倉氏が出席しています。
子育て関係の政策を議論する内閣府の子ども・子育て会議にも経団連内部の委員会部会長が名前を連ねています。

また、社会保障にかかわる課題を議論し、厚生労働大臣に意見を述べるする社会保障審議会にも、環境に関する課題をし、環境大臣等に意見を述べる中央環境審議会にも経団連内部の委員会・部会長が出席しています。

経団連関係者が出席している政府会議はたくさんありすぎるので、ここにすべてを列挙することは控えますが、政府会議に出席することで、政策の方向に影響を与えることができる、ということは過去の記事でも言及してきた通りです。

いかに経団連という団体が、政策決定過程に組み込まれているかがわかるかと思います。

それでは、経団連がいかに政策決定過程にアプローチしているのか、組織構造や政策提案活動の実践について見ていきましょう。

(執筆:西川貴清 監修:千正康裕)

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編集部より:この記事は元厚生労働省、千正康裕氏(株式会社千正組代表取締役)のnote 2022年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。