こんにちは、音喜多駿(日本維新の会 参議院議員 / 東京都選出)です。
今週・来週が参議院ではおそらく3月の予算審議に続く第2のピークで、衆議院から回ってきた法案審議が続きます。私も今週は質疑4回…!
24時間働けません!若手官僚8人が探った霞が関の実態
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/82465.html
そんな中、NHKマガジンのこちらの記事が気になりました。相変わらず過酷な環境の中、若手の退職が続く霞が関(中央省庁など国家公務員)。
後半はやはり「国会対応」にものすごい負担が割かれるという話なのですが、前段の官僚の「キャリアパス」についても本質的な課題が示唆されています。
>「仕事をやってもやらなくても年次で上がる。頑張る意義を見いだせない」「専門性や志向を自分で決められない」
>「絶望」の大きな2つの原因のうちの1つが「キャリアパス」だ。大平さんは「退職者はキャリアパスを自己決定できず、職場に人生までも決められてしまう感覚に絶望を感じていた」と分析する。
>背景には、霞が関特有の「キャリア制度」がある。各省庁ごとに採用が行われ、採用後はほぼ2、3年の周期でさまざまな定期異動を繰り返す。ゼネラリストとして育成され、専門性は身につきにくい。
>徹底した年功序列で、採用同期は40歳前後までほとんど差をつけないが、幹部ポストの数は限られており、出世コースから外れれば、定年前に事実上の肩たたきが行われるため、トップの事務次官を目指して出世レースを勝ち抜く以外のキャリア形成は描きにくい。このキャリア特有の制度は法律や規則に基づくものではなく、あくまでも慣行にすぎない。
(上記の記事より抜粋、強調部分は筆者変更)
まさにこの部分に課題が凝縮されています。地主さんという若手官僚の言葉が上記の記事に続きます。
>地主さんは大学院に進学などした結果、6年遅れて入省した。同期より6年早く定年を迎えるため「入省した時点で幹部になれないことを悟った」
>それならばと配属先で担当したデジタル部門に魅力を感じ、専門性を身につけようと希望したが、異動はほぼ2年に1度やってくるという。(中略)
>「例えるなら2年に1度、意図しない転職をさせられるようなもので、やりがいを感じられないと話す退職者が多かった。自分の能力の何が評価され、何を期待されているか分からない。ほかの山を登りたいのにみんなで同じ山を登らされているようですごく息苦しい」
>ほかのメンバーも「霞が関は『年功序列を排し、能力や実績に基づく人事をやる』と、ここ何十年ずっと言っているが変わっていない」と口をそろえる。
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絶望的なのは、記事中でも言及されているようにこうした人事制度が法律や規則ではなく「慣行・慣習」で運用されていることです。
むしろ平成20年に可決した「国家公務員改革基本法」はこうした採用・育成における課題解決や年功序列の打破(実績主義)がうたわれており、かなりしっかりとした内容になっています。
しかしこの法律が守られていないわけですから、最初を国会にきて議員として取り組んだ時に
「法律を守って働くはずの公務員が、その法律を守らずに慣行に従うのだから、どうやって是正したらよいのだ?」
と途方に暮れたものです(議員立法を出そうとして頓挫。内容がすでにあるものと重複するだけなので…)。
省庁別採用の見直しや専門性を描けない人材育成計画の打破、年功序列の撤廃は多くの議員がずっと提案していることですが、その変革は亀の歩みです。
公務員組織の形状記憶力というのは凄まじく、一人の大臣が奮闘したくらいではすぐに元に戻るか、そこで改革は止まります。かつてであれば渡辺喜美行革担当大臣、最近では河野太郎行革担当大臣が奮戦しましたが、抜本改革には至っていません。
おそらくこの問題を根本解決するには、一つの内閣を潰す(一内閣をこの問題解決にコミットさせて政治力を使い果たす)くらいの覚悟が必要になるのですが、それくらいの注力をすべき分野であるとも感じます。
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官僚組織はまさに国の礎であり、その人事慣行は日系企業にも強い影響を及ぼします。
採用・評価制度の改善には引き続き国会質疑でも取り上げつつ、後段の「国会改革」、特に質問通告などは議員側がその気になればすぐ改善できることです。
自身の着手できることには即座に取り組みながら、長期的な課題解決に党として取り組んでまいります。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2022年5月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。