厚労省のワクチンの感染防止効果データが杜撰すぎの衝撃

厚労省のワクチンデータが杜撰すぎて草

昨日のこちらのnoteで知ったのですが

厚労省が公式データ修正→「ワクチン有効」は嘘でした…の衝撃。

書かれた森田先生はもともと反コロナワクチン派なのでタイトルもかなり偏向されていて

×「ワクチン有効は嘘でした」 → ○「感染防止効果」は2回接種ではなくなってました」

が正しいだろう。正確には

2回打っただけでも感染防止効果は十分のはずが、実際にはほとんどなかった

ということです。

ワクチンの有効性はそもそも感染防止効果より重症化防止、致死率低下であり、完全に証明されている。日本と同じ人口でワクチン接種率が非常に低いロシアでは38万人死んだし、香港ではワクチンを打っていない高齢者を中心にオミクロンの数ヶ月で日本の累計の5倍死にました。上海の死者の95%は未接種の高齢者です。

K_E_N/iStock

このnoteの元になったのは厚労省のアドバイザリーボードの資料で、わたしもこの資料をよく引用していた。で、「オミクロンでも感染予防効果はオマケ程度はある」といつも言っていたのだが、突然のようにこう追記された。

「ワクチン接種歴が未記入の場合、令和4年4月20日までのADB提出データでは未接種に分類していたが、5月11日以降のADB提出データでは接種歴不明に分類している」

ギョギョギョ!!!である。接種歴不明は「接種してないけど後ろめたいから言いたくない」と、「接種してるけど接種日を忘れた」の2種類あり、接種したことは覚えているのに接種日が分からないと不明になるというとんでもない馬鹿データベース設計なわけだが、これを全部未接種にしてしまうとかあまりに適当です。コレを元に「ワクチンには感染防止効果があるから高齢者を守るために子供も打て」と言っていたのだとすると、専門家ってみんなバカなの?と言いたくなる。

森田氏は

この修正データで「未接種のほうが2回接種より人口あたりの感染者数が少ないじゃないか」と言ってるわけですが、これもまたおかしくて3回接種は明確に感染率が低いし、2回接種なんざすでに接種日から10ヶ月も経過している人が大半でとっくに抗体は切れている。

さらに未接種の大半は若い世代で症状が軽く、多少の熱でも病院に行かない。つまり新規陽性と見なされる可能性が低い。結果として2回接種と未接種は感染防止効果で有意義な差は見られない。3回接種と未接種・2回接種は大きな差があるとするのが妥当だろう。しかし世代ごとに上の表を見ると、65歳を超えると未接種とブースター接種の差が無い。65歳~のブースターは今年の1月~2月なのでオミクロンではブースターの感染防止効果は非常に短く、2ヶ月程度で切れているようだ。つまり、

感染防止のためにワクチン打つのは無意味

ということになります。いくらなんでも2ヶ月ごとにワクチン打つわけにはいかんでしょうよ。しかし、実はこの厚労省のデータは前々からおかしいと思っている部分があって、自分も変だなと思ってはいたがまさかそんなことしておるまい・・・・と思って見逃していた大問題があるのです。

高齢者のワクチン効きすぎはデータの母数がおかしい

先ほどの表ですが

グリーンの部分、80歳以上の高齢者の未接種の10万人あたりの新規陽性が異常に多いのです。この表だと90歳以上はブースターを打つと未接種の127分の1しか感染しなくなるということになります。

わたしは根が素直なので「高齢者にはオミクロンでもワクチンの感染防止効果はある」と信じていましたが、Twitterでもともとの母数がおかしいのではと指摘を受けました。なんと未接種者数が単純に

人口統計の人口 − 接種した人の数

という雑な数字になっていたのです。一応、首相官邸ホームページの公表データを使用(総務省が公表している「令和3年住民基本台帳年齢階級別人口

(市区町村別)」のうち、各市区町村の性別及び年代階級の数字を集計したものを利用。)とあるので毎月更新される人口統計かと思っていたら、なんとこれが1年前・・・・・・

たとえば90歳以上の人口は

2020年と2021年では1万9000人も増えているわけです。そうすると「人口統計の人口 − 接種した人の数」で前半だけ古いのを使うと、未接種あたりの感染者数はどんどん下がります。人口が増えているのに、増えた分をくわえた数から接種済みを引いて算出するのではなく、少ない数から引いてるわけですからね。はっきりいって統計として役に立たない。

毎月の高齢者のワクチン接種率にしても、毎月の人口で計算しないと高齢者の人口が増えているわけだから、この馬鹿げた統計では接種率は実際よりもどんどん上がっていきます。なんで毎月の人口統計で出さないのか、バカなのか、手抜きなのか・・・・

実際に計算してくれた方がいました

わたしは面倒なので計算してなかった(コロナはもういいやみたいな・・・)のですが、しっかりと実証してくれた方がいました。

 

なんと、厚労省のワクチン効果の母数は今の段階でも令和3年の4月1日の母数でした。これはつまり、子どもの母数は多く、高齢者は少なく出る事を指します。人口が減った世代ではワクチン接種率が100%を超えたりしているのも道理です。

いまはもう令和4年ですから、令和4年4月1日のデータを用いて試算してくれた結果

ワクチン接種率は赤い線が正しく、実際には厚労省の発表ほど接種率は高くないのです。
種率は94%くらいで頭打ちです。65-69歳が低かったりもせず、高齢者ほど接種率が高い。

未接種者の人口が変わってくるので、10万人あたりの新規陽性者数も再計算しました。40歳代と50歳代の逆転、65-69歳の異常な低さ、80歳以上での異常な高さ、すべて解消しています。

コレが正しいグラフとなります。

ワクチンの感染防止効果率も、高齢者ほど早く接種しているため、おそらくは接種してからの期間に対応して、下がっています。3回接種の高齢者でもすでに感染予防効果は低くなっており、あとは重症化予防にどれだけの意義を見出すかというところです。

2回め接種が早かった40歳以上ではすでに感染防止効果は全くない。

ブースターも接種が早かった高齢者は感染防止効果はかなり落ちていて、たぶん2~3ヶ月でかなり落ちている。打ってから間もない若い世代はまだあります。しかしこんなに早く落ちるのでは「感染拡大を防ぐためにブースターを打つというのは無意味」といえるのではないか。

厚労省の担当官におきましては、国の方針を決める大事な資料ですから、手を抜かずに1年前の人口統計ではなく、毎月発表される統計でやっていただきたい。そうしないのならこんな資料は誤解を招くだけですので出してもらわなくていいと思います。

わたしと音喜多君、立憲の中谷さん、自民の藤末さんの新刊がでました。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2022年5月18日の記事より転載させていただきました。