今週久しぶりに20人のグループで出かけた六本木にある石頭楼。スートーロウと読む名物の石頭火鍋(スートーホーコ)のお店です。私が最初に食べたのは20代半ばですから、もう30年以上通い続けていることになります。
お店のオーナーの松崎さんと木村さんは、私が銀行員だった頃からの30年以上のお付き合いで、私の人生の変遷を一番よく知っている人たちかもしれません。
このお店が不思議なのは、看板も出さずに口コミだけで営業しているのに、長期で通い続ける常連に支えられ、相変わらず繁盛していることです。
時間は経過していますが、メニューは基本的に1つしかありません。石頭火鍋がメインのコースです。
前菜とたっぷりの鍋、締めのおじやかラーメン、そして杏仁豆腐です。このワンパターンのメニューを30年以上食べ続けて、なぜ飽きないのでしょうか?
もちろん鍋自体がとてもおいしい事は当然です。寒い冬に食べても、夏に冷房の効いた部屋で夏バテ防止に食べても、美味しくいただけます。
野菜とお肉、そして海産物がバランスよく入ることで、深みのある飽きがこない味が実現できるのかもしれません。
最後に食べるラーメンも、また絶品です。鍋の出汁がしっかりと効いて、街中のラーメン店よりもおいしいラーメンが食べられます。
最後のデザートもクリーミーで香り高く、私は「東京一の杏仁豆腐」と勝手に呼んでいます。
美味しいだけではなく、一度食べると定期的に食べたくなる中毒性があります。20代の若者が中華鍋の魔力に魅せられて、それからずっと通ってします。これは、最新のマーケティング理論で言うところの「生娘シャブ漬け戦略」です。
大手外食チェーンのマーケティングの専門家が大学で教えるようなことをずっと前から実践している訳です。
でも、これだけの人気店なのに、なぜ競合するチェーン店などが出てこないのかも不思議です。
それは、オーナーの2人を始め、スタッフのコミニケーション能力が高く、臨機応変なサービスにおいしさ以上の価値があるからです。これは、マニュアル化出来ません。
隠れ家的なお店で、看板が無いのも逆に特別感があって、非日常性を演出してくれます。店頭に看板はありませんが、予約をすれば誰でも利用することができます。
このお店には、飲食ビジネスを長期で続けるためのヒントがたくさん隠されてます。気になる人は、予約して出かけてみてください。
編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年5月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。