人前で質問することは、他の受講生への「貢献」

早稲田大学の社会人向け講座で資産運用講座を開講しています。いよいよ今週で最終回となります。

このような大人数のセミナーで講義をしていると、いつも不可解に感じることがあります。

それは、授業時間中には「質問はありませんか?」といくら聞いても誰も質問しないのに、授業が終わってから何人もの受講生が、個別に質問してくることです。

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確かに、プライベートな内容であれば、他の人の前で聞くのは躊躇されるかもしれません。でも、ほとんどの質問は他の受講生にとっても有益なものだったりするのです。

とすれば、そのような質問こそ、授業時間中にすべきではないでしょうか。

アメリカのビジネススクールに留学していた時、日本人以外の学生が授業中に積極的に質問したり、自分の意見を多くの学生の前で堂々と発表しているのを見て、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。自分の疑問や意見を素直に表現することが美徳という価値観があるようです。

彼らとは対照的に、日本人は人前で質問をすることを、無知をさらけ出すと感じ、恥ずかしいと思う傾向があります。

しかし、質問することは、授業で生じた疑問点を完全に解決しようという前向きな行動ですから、まったく恥ずかしいことではありません。むしろ、疑問点を解決せず曖昧に先送りすることこそ、学びに来た者として恥ずかしい行為ではないでしょうか?

そして、そのような疑問点を他の受講生にシェアできれば、授業のクオリティアップにも貢献することもできるのです。

そのように考えれば、わからないことを我慢したり、授業が終わってからこそこそと質問することこそ、恥ずかしい行為であることがわかります。

日本人の習性を少しでも変えられるように、最終回も質問しやすい授業の雰囲気を心がけた授業をやっていこうと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年5月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。