人前で質問することは、他の受講生への「貢献」

早稲田大学の社会人向け講座で資産運用講座を開講しています。いよいよ今週で最終回となります。

このような大人数のセミナーで講義をしていると、いつも不可解に感じることがあります。

それは、授業時間中には「質問はありませんか?」といくら聞いても誰も質問しないのに、授業が終わってから何人もの受講生が、個別に質問してくることです。

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確かに、プライベートな内容であれば、他の人の前で聞くのは躊躇されるかもしれません。でも、ほとんどの質問は他の受講生にとっても有益なものだったりするのです。

とすれば、そのような質問こそ、授業時間中にすべきではないでしょうか。

アメリカのビジネススクールに留学していた時、日本人以外の学生が授業中に積極的に質問したり、自分の意見を多くの学生の前で堂々と発表しているのを見て、ちょっとしたカルチャーショックを受けました。自分の疑問や意見を素直に表現することが美徳という価値観があるようです。

彼らとは対照的に、日本人は人前で質問をすることを、無知をさらけ出すと感じ、恥ずかしいと思う傾向があります。

しかし、質問することは、授業で生じた疑問点を完全に解決しようという前向きな行動ですから、まったく恥ずかしいことではありません。むしろ、疑問点を解決せず曖昧に先送りすることこそ、学びに来た者として恥ずかしい行為ではないでしょうか?

そして、そのような疑問点を他の受講生にシェアできれば、授業のクオリティアップにも貢献することもできるのです。

そのように考えれば、わからないことを我慢したり、授業が終わってからこそこそと質問することこそ、恥ずかしい行為であることがわかります。

日本人の習性を少しでも変えられるように、最終回も質問しやすい授業の雰囲気を心がけた授業をやっていこうと思います。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2022年5月29日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。