脱炭素、省エネならソーラーパネルより、アルミサッシ全廃の方が先だろう

脱炭素とかいって太陽光発電に過剰な期待を寄せる人が未だに多いわけです。そもそも地球温暖化説はあくまで「説」にすぎないのにそれが現実の脅威であり、人類の化石燃料使用による温暖化が「犯人」であるというもの説に過ぎません。

ソーラー発電=エコという信仰も問題です。日本中でメガソーラによる環境破壊が問題になっていますし、太陽電池のライスサイクルを通じた省エネ性もまだ疑問が多いところです。

ところが小池東京都知事には新築物件に全部ソーラー発電乗せることを義務化するといっています。これは非現実的ではない上に、単に中国のメーカーを儲けさせるため利権の仕組みではないか、「緑のたぬき」は実は「赤いきつね」が化けていた、と非難されても仕方がない。

その一方で無限に地下資源を燃やしてエネルギーとして利用することは良くないのは事実でしょうし、枯渇もするでしょう。

Bombaert/iStock

いま一番簡単なのは住宅、オフィスビル含めたアルミサッシの全廃です。アルミサッシは熱伝導が高いので冷暖房効率が大変悪くなります。

温暖化対策「優先すべきはEVより窓交換」の真実 新技術に期待するより確実に見込める省エネ

温暖化対策「優先すべきはEVより窓交換」の真実
確立されていない技術で問題を解決しようとするのは、エネルギー政策にとっては災いのもとだ。ソーラーパワーで走る自動運転車、安全性がきわめて高い小型原子炉、遺伝子操作による光合成強化など、例は尽きない。…

アメリカでもEUでも、一次エネルギー消費の約40%は建築物によるものだからだ。なかでも、住宅のエネルギー消費の約半分は冷暖房によるものであることを考えれば、わたしたちにできる最善の省エネ対策は、もっと性能の高い断熱材を利用して、熱が室外に出ていかないように(あるいは室内に入ってこないように)することだ。

三層ガラスを利用すれば、ふつうのガラス窓1枚だけの場合より、熱の損失を最大90%減らせるようになる。省エネルギーの世界では、数十億(枚)という単位の対象物で活用できる手法などほかにない。それに、実際に省エネ効果があることがわかっているのだ。

脱炭素時代に適合した住まいの実現に向けて よりよく生きるための住まいづくり最前線
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脱炭素時代に適合した住まいの実現に向けて | 住まいづくり広告特集 | 東洋経済オンライン
日本政府は2030年度までにCO2排出量の46%削減(13年度比)を目指す中で、家庭部門には66%の削減を求めている。達成のためには省エネルギーを徹底して、太陽光発電などの再生可能エネルギーを最大限に導入するこ…

約5000万戸あるといわれる住宅ストックのうち、省エネ基準に適合している住宅は19年度時点で約13%、無断熱の住宅は約29%と推計される

外壁や屋根の外皮改修ですと、それなりに大がかりな工事となってコストもかかるため、なかなか手をつけにくいと思います。しかし、窓ガラスやサッシを高性能なものに交換したり、内窓を付けたりするのであれば工期も短く、コストも外壁などの改修に比べればかなり抑えられます。築20年、30年くらいの住宅であれば、十分投資対効果があると思います

カーボンニュートラルに貢献「Low-E複層ガラス」 住まいの快適性や経済性を高めるエコガラス
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カーボンニュートラルに貢献「Low-E複層ガラス」 | 板硝子協会 | 東洋経済オンライン
家庭の省エネ化を促進しCO2削減効果を高めるためには、住宅を暖冷房の使用が少なくて済む断熱性能の高いものにしていく必要がある。そのポイントとなるのが開口部だ。環境省の「2019年度(令和元年度)温室効果ガ…

板硝子協会の調査では、20年の新築共同住宅におけるエコガラス等の戸数普及率は56.5%、新築一戸建てにおいては86.4%に達しているものの、既設住宅への普及はあまり進んでいないのが実情だ。

現在居住可能な住宅4500万戸の窓ガラスを、すべてエコガラス等に置き換えたと仮定した場合、年間で約1700万トンのCO2削減効果があるという。20年の新設住宅の普及率から算出したCO2排出量の削減効果は24.9万トンなので、既設住宅の窓ガラスをエコガラス、エコガラスSに替えていくことがいかに重要であるかがわかるだろう。

東京、大阪などの太平洋側の平野部における戸建て住宅、単板ガラスで年間暖冷房費が約3.8万円かかっているケースでは、エコガラスに交換した場合は約2.6万円、エコガラスSなら約2.4万円と、3割以上の節約効果が見込まれるという。

脱炭素達成のカギを握る「寒すぎる家」の大問題 家が暖かくなれば「空き家問題」も解決に向かう

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「脱炭素」が世界の潮流になっている。ようやく日本でも菅義偉内閣が「2050年までの脱炭素」を掲げたとおり、国内でも今後さまざまな分野で大きな変革がやってきそうだ。本当にできるのだろうか。具体的なロードマ…

日本で脱炭素化が世界のなかで最も遅れている分野の1つが、建築だ。日本の全エネルギーの約3分の1が建築分野(一般用住宅と業務用)で消費されている。

今最も厳しいドイツの基準と比べると、年間に使用する灯油タンクの量(床面積100平方メートルの家)換算ではなんと約7倍にもなる。さらに驚くのは、日本の住宅の大半がこの「時代遅れの新基準」さえクリアできていないということだ。

建物の冷暖房に使うエネルギーを減らせば相当の省エネになるわけです。かと言って屋根や壁を弄くると大変費用も時間もかかる。対して窓の取替だけならえば安く、簡単に済みます。しかもそれによって光熱費が浮くメリットも出てきます。

であれば新築のみならず、既存の住宅やオフィスビルにもこれらの新しい窓ガラスへの変換を行えばいい。

それには補助金は必要ありません。単に変更しない建物については固定資産税の税率をあげればいいだけです。そうすれば政府は一円も使わずに導入を促進できます。火の車の日本の財政で補助金を大盤振る舞いできる余裕はないはずです。

更に申せば、熱効率が悪い一戸建ての厚遇を止めるべきです。これまた固定資産税の税率を上げるべきです。代わりに賃貸のマンションを優遇する。少子高齢化ですかから、老齢家庭や一人暮らしが増えるわけで、ジジィ、ババァになれば階段が辛くなりますし、転落の可能性も大きくなる。結果として2階3階の利用は難しくなる。

であれば熱効率がよく、室内に階段がないマンションがいい。一戸建ての固定資産税を上げてマンションにシフトすべきです。

実は河野太郎氏が防衛大臣に時に自衛隊の建物や官舎に省エネ窓を導入したほうがいいとお話しました。それによってエネルギー代も削減できるし、自衛隊が大規模に採用すれば国内メーカーの生産効率も上がって普及もしやすくなると。

でもあまり関心がないようでした。

【本日の市ヶ谷の噂】
防衛医大の博士審査内容は博士課程の最中か修了後、1年以内に英文の学術雑誌などに公開される必要がある。ところが、この約束を履行せず食い逃げする医官が毎年数人おり、
文部科学省で大顰蹙。ところが医官が何故か1佐や将官にないる、との噂。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2022年5月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。